ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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概要

マツダ技報 2012 No.30

No.30(2012)マツダ技報巻頭言SKYACTIV技術とモデルベース開発執行役員人見光夫Mitsuo Hitomi2012年,SKYACTIV技術を全て採用した車両が商品化されるという記念すべき年にマツダ技報は第30回の発行となる。今回の特集は2006年よりマツダが総力を挙げて取り組んできたSKYACTIV技術とそれをフル搭載したCX-5,アテンザ,そしてビルディングブロック戦略の最後に位置する電気自動車についてである。また安全技術についてもマツダ独自の取り組みを特集した。さて,昨年より世に問い始めたSKYACTIV技術は,車そのものに真正面から取り組み大きな進化を果たしたものでマツダの今後の生きざまを示したものともいえよう。世の中はハイブリッド,電気自動車というシナリオが常識化しつつある中で内燃機関の改善の余地はまだまだ十分残っていることを示し,少なくとも業界にはかなりの影響を与えたものと思う。今後,新興国等自動車の台数は飛躍的に伸びて行くがその大半はまだ内燃機関にしかなりえないという現実を考えれば少なくとも正しい方向への影響を与えることができたものと思っている。「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」を技術的に支えるビルディングブロック戦略は環境面では,まず,ベースとして動力源の効率を上げ,効率の悪いところは使わないようにし,車を駆動するために必要なエネルギを極力減らすべく軽量化や抵抗低減を進めている。次に車を駆動しないときはエネルギを使わないようにし,更に,捨てているエネルギを回収してエンジンの仕事量を減らすという順番に取り組んでいこうというものである。これらは,車の効率改善の全てをとらえたものであり,順番も大変合理的であると確信している。技術者は謙虚に他社の優れた技術は真摯に参考にさせていただくという姿勢は常に維持すべきである。ただしそればかりでは自社が存在する意味は低くなってしまう。やはり我々は技術の将来像は自ら描く必要があると思う。SKYACTIV技術はマネージメントと現場の技術者がともに理想像,究極の姿を描いた上で取り組んだ技術である。構成する技術の個々の部分では他社の優れた技術も大いに参考にしているが進むべき道は自ら選んだものである。有力なメディアなり企業がある方向に動き始めるとそれが正しく見えてくるのが世の常であろう。アップル社の故スティーブジョブズ氏はアップルが勝つためにマイクロソフトを負かさなければならないとしたらアップルは負けることになるといったそうであるが,成功者をただ追随するだけでは決して勝者にはなれないという意味である。我々技術者はこの言葉を是非とも心にとどめておきたいと思う。我々はやはり自分で考えユーザになぜこれを作ったのか理由を説明したくなるようなものを提供し続けなければいけないと思う。―1―