ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30
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マツダ技報 2012 No.30
マツダ技報No.30(2012)大に加え,エンジンとトランスミッションの協調制御によって,MTのようなダイレクト感,力強い発進とスムーズな変速フィールを実現した。また,クラストップの優れた燃費性能の達成にも大きく貢献している。(2)先進のアクティブセーフティ技術●スマート・シティ・ブレーキ・サポート(SCBS)& AT誤発進抑制制御SCBSは,4~30km/hの低速走行中に,レーザセンサで前方の車両を検知,衝突の危険性が高いと判断した場合には,即座に強い制動力を発揮できるよう,ブレーキの遊びを詰める。更に,ドライバがブレーキ操作を行わなかった場合,自動的にブレーキを作動させて減速し,衝突の回避や衝突による被害の低減を図る。AT誤発進抑制制御は,徐行(約10km/h以下)または停車時,前方に障害物があるにも関わらず,アクセルが一定以上踏み込まれた場合に作動。警報とメータ表示によってドライバへの注意を促すと同時に,エンジン出力を自動で抑えて急発進を抑制する。●リア・ビークル・モニタリングシステム(RVM)リアバンパ内側に備えたレーダで隣車線上の後方から接近する車両を検知すると,ドアミラー鏡面に備えたインジケータが点灯してドライバの注意を喚起する。従来のマツダ車では60km/h以上でのみ作動させていたが,CX-5では低速時の車線変更をサポートするため,30km/h以上で作動するよう進化させた。(3)軽量・高剛性・安全ボデーSKYACTIV-BODY●前面衝突への備え十字型断面のフロントフレームをはじめとしたボデー前部の高効率マルチロードパス構造によって,前方からの衝撃を多方向に分散。衝突時にはエンジンやフロントクロスメンバがフレームから外れる構造とすることで,衝撃吸収スペースを確保。加えて,衝突時のキャビン変形を抑制する要所に高張力鋼板を採用し,軽量化とキャビンの強度の向上を両立した。●側面衝突への備えルーフレール,センターピラー,アンダーボデーを連続させた環状構造によって,側面からの衝撃に対するキャビンの変形を抑制。ドアの内部にはフロントに2本,リアに1本のサイドインパクトバーを設定し,衝撃を効率よく分散させるとともに,ドアの室内への侵入を防いでいる。●後面衝突への備え後面への衝突に対しては,Bフレームとリアフレームの締結によって,衝突エネルギの分散を促進。燃料タンクの周囲はタンクを保護する構造やフレームのレイアウトによって,衝突による燃料漏れや車両火災の発生を防止した。●歩行者保護万一の際,歩行者の頭部への傷害を軽減するため,ボンネット下にエネルギ吸収スペースを確保し,カウルグリルやフェンダブラケットにエネルギ吸収構造を採用。また,歩行者の脚部への傷害を軽減するため,バンパビームに発泡材のエネルギ吸収構造を,バンパロア部には樹脂製のエネルギ吸収材を採用した。4.おわりに私たちは,以前は家族や仲間とともにドライブするだけで,笑顔を浮かべることができました。流れる景色を楽しむ。これから向かう知らない土地に思いを巡らせる。期待で胸が高鳴り,乗員同士の会話が弾む。運転をするだけで,楽しい時間を過ごすことができたのです。しかし,最近は「ドライブ」という言葉自体が死語になっています。それどころかクルマで移動する間,ドライバは燃費と安全に気を遣い,同乗者は暇を持て余す。「目的地に着くまでの辛抱だ」そんな緊張と我慢を強いられる退屈な時間と感じる人も少なくありません。けれども私たちは,もう一度「ドライブ」という言葉と楽しさを復活させたいと考えています。そのためにも,CX-5が単なる移動手段ではなく,移動時間そのものを楽しみに変え,乗員全員に歓びを与え続けるクルマとなることを願って止みません。CX-5を選んでいただき,運転し,長く使っていただいたとき,あらゆる場面において,お客様に笑顔を浮かべてもらうこと。それが私たちにとって最高の歓びです。■著者■田中英明前田俊和―92―