ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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概要

マツダ技報 2012 No.30

マツダ技報No.30(2012)た。更に第2弾として,2011年,「勢(ミナギ)」をジュネーブショーで発表し,魂動のさらなる可能性を示すモデルとして世界に紹介した(Fig.2)。実際には「勢」は,CX-5のデザインテーマが決定した後で,同じテーマを使いながらショー用の化粧を施して製作されたモデルである。つまりCX-5のデザイン開発は,実は「魂動」の創出と同時に行われていた。マツダの新しいデザインテーマを創りながら,同時にそれをCX-5のデザインとして結実させる。これが「魂動」のトップバッターであるこの車のデザインチームに課せられた役割だった。Fig.1 KODO: SOUL of MOTION3.エクステリアデザイン3.1動きを予感させる独特のプロポーションCX-5はグローバル商品である。したがって世界のどの国でも強い存在感を表現しなければならず,たとえ北米の大地のスケールで見ても認知できる骨格を持つ必要がある。まずSUVらしさを表現するために,車の「高さ」と「踏ん張り感」の重要性に着目し,加えてしっかりとノーズの存在感を出すことで,ミニバンやハッチバック車と一線を画すSUVらしい基本のシルエットを規定した(Fig.4)。その上で,陸上短距離選手のスタート前の姿勢のように車全体の姿勢を前傾させ,かつ,Aピラーを後方に引いてキャビンを後退させることで,より後ろ足に荷重が掛かった,今にも走り出しそうな動きの予感を表現した(Fig.5)。これらにより,アスレチックでありながら堂々たるSUVらしいプロポーションができ上がっただけでなく,後ろに引いたAピラーが良好な運転視界にも寄与するため,運転する歓びとスポーティなデザインとが高次元でバランスした基本骨格になった。Fig.4 SUV silhouetteFig.2 SHINARI & MINAGI2.2マツダらしさとSUVらしさの両立一般的な傾向では,SUVらしい強さや逞しさを表現すると鈍重なデザインになりやすく,逆にスポーティで軽快なデザインにすると力強さが失われがちである。しかしカスタマーの多くがSUVの力強いイメージをポジティブに捉え,それを好んで乗っていることがマツダの調査で分かっていた。そこでこれらを両立し,力強さとスポーティさを併せ持つ独自のポジショニングターゲットとして設定した(Fig.3)。以下にその具体的な手法について解説する。Fig.3 Styling Positioning MapFig.5 Side View Proportion3.2新しいファミリーフェイス一目でマツダと分かる顔を目指し,コンセプトカー「靱」で発表して「シグネチャーウイング」と名付けた羽ばたく翼の紋章をグリル外周にあしらった,新しいファミリーフェイスを持った最初の量産車となる(Fig.6)。やや下を向かせた立体的なフロントグリルは前傾した車の姿勢を強調し,反対に上を睨み上げるようなランプの表情は獲物を狙うチーターをイメージしてデザインした。それらをつなぐシグネチャーウイングはクロームメッキ処理され,スポーティさと質感の高さを表現している。フェイス下側の力強い造形はSUVらしさと車格感を表現し,全体として精悍でハンサムな顔立ちを構成,CDカーから乗り換えても納得できる風格に仕上がった(Fig.7)。―94―