ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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概要

マツダ技報 2012 No.30

No.30(2012)マツダ技報3.2環状構造ボデーストラクチャにおいて,ドアやリフトゲート部の大開口部による剛性や強度低下を,どう補うかがポイントとなる。また,サスペンションからの路面入力や衝突入力に対して入力点に適応する部材を配置するが,車両として性能目標を達成するにはその個々の部材を連続する一つの部品として機能量を上げる必要がある。CX-5では4つの部位に車体の骨格を継ぎ目なく連続する環状構造を設定し,効果的に機能量を向上している(Fig.4)。この構造によりデザイン要素にて最外板面を変動させても骨格としての強度は影響を受け難くなり,デザインテーマと性能目標の両立を実現した。特に①フロントドアからリヤドア開口部にかけて設定した環状構造はフロントサスペンションとリヤサスペンションのストラットユニット取り付け部をダイレクトにつなぐ構造となり,操縦安定性能のリニア感を向上している。この構造の実現においては通常溶接できない鉄板接合部にウエルドボンドを施工し,既存の車体の製造設備変更を最小限に止めながら実現した。2.B pillar and under body connected1.Upper body and under body3.Rear damper mounts connectedFig.4 Continuous Structures4.Rear header and under body connected3.3フロントボデーストラクチャSKYACTIV-BODYにて技術開発したマルチロードパス構造をCX-5にそのまま適用することを実現した。衝突時の車両に受けるエネルギを①エプロン②フロントフレーム③サスペンションメンバのマルチロードパスで吸収し,土台となるキャビンの環状構造でしっかりと支えることで,乗員生存空間を確保した。従来車では厚板となっていたフロントフレームの板厚を下げることで軽量化した(Fig.5)。Current modelt1.8 t2.3t2.9CX-5t1.2t1.4 t1.6Upper patht2.0ContinuousStructuresFig.5 Front Body Structure with Multi-Load Path3.4デュアルブレース(1)車体剛性における各車体部品の寄与度分析「走る歓び」に不可欠な操縦安定性を支える車体剛性値の向上に向けて品質工学の手法を用いて各車体部品の寄与度を分析した(Fig.6)。その結果リヤフレームやリヤホイールハウス,リヤサスペンションハウジング部の寄与度が高いことが判明した。S/Nratio(dB)major←variability→minorRear Wheel HouseRear Sus-housingFig.6 Contribute Significantly AnalysisRear Side Railしかしながらこれらの部品構造を0(ゼロ)から見直すことは既存の機能を失うリスクが高い。また,いたずらに板厚を厚くすることは,質量増加に直結し軽量化に相反する。(2)新構造の発想と具体化寄与度の高い部品の結合強度を上げることで,相乗効果により効果的に車体剛性の向上を実現した。具体的な構造の発想においては鳥居の足部構造などを参考にしながら,リヤサスペンションの固定部に合わせて寄与度の高い部品を効果的に結合するデュアルブレース構造を開発した(Fig.7)。本構造により,質量を犠牲にすることなく,信頼性の確保と車体剛性の向上を実現した。Directly connected tounderbodyFig.7 Dual BraceDirectly receives loads from rearsuspension and restrains vibration3.5塗布型制振材軽量化と生産性改善を目的に,フロア制振材を制振シートから塗布型制振材へ切り替えた。CX-5では,フロア形状を決めた上で,CAE解析での最適化計算により,従来制振材と同等のフロア振動特性となる塗布パターンを導き出した。ただし,この振動特性の最適化だけでは,重量軽減による透過遮音性能が悪化するため,SEA(Statistical Energy Analysis)解析と実機検証による遮音性能の寄与度分析結果から,性能を満足する塗布パターンを決定した(Fig.8)。その結果,ロードノイズ性能をキープした上で,従来制振材比2.4kg軽量化を実現した。―105―