ブックタイトルマツダ技報　2012 No.30

概要

マツダ技報　2012 No.30

No.30(2012)マツダ技報①自然な発進フィールアクセル操作から加速開始までの応答時間を最適化した。リニアリティ重視のトルク特性と合わせ,自然なフィーリングを実現した。特に,発進時にはEVならではの上質な加速を体感できる。Fig.1にアクセルオン直後の加速度の時間変化を示す。Sound PressureBaseDemio EVAcceleration①Natural FeelingAccelerator ONTimeFig.1 Acceleration Just After Accelerator ON②リニアなレスポンスFig.2にベース車(デミオ1.3L 4AT)とデミオEVの加速度の時間変化を示す。ベース車では,発進後に2次関数的に加速度が変化するのに対して,デミオEVでは直線的に変化,加速中のアクセル操作に対して,応答の遅れがなくリニアに加速度が立ち上がる特性を実現した。③滑らかな加速同じくFig.2に示すように,ベース車では,エンジンの出力特性と変速の影響で加速度がピーク到達後に急激に落ち込み,運転者が減速感を感じる。一方,デミオEVでは,ピーク到達後の加速度が緩やかに変化,運転者に減速感を感じさせない滑らかな加速感を実現した。Acceleration③SmoothAcceleration②Linear ResponseBaseDemio EVTimeFig.2 Comparison of Acceleration(2)乗り心地とハンドリングの両立EV化に伴い,車室内の静粛性を大幅に向上させたとともに(Fig.3),バネ上バネ下重量比を改善し,上質な乗り心地を実現した。更に,前後の重量配分もベース車の65:35から60:40に変更,50:50に近づいたことで,ハンドリングも軽快になった。QuietVehicle SpeedFig.3 Comparison of Sound Pressure2.2一充電当たり200kmの航続距離(1)バッテリデミオEVは,小型,高密度化とともに,ケースのアルミ化等により軽量化した,電池容量20kWhのリチウムイオンバッテリを搭載している。ベース車の高い燃費ポテンシャルと相まって,JC08モードで一充電当たり200kmの航続距離を実現した。(2)減速エネルギ回生システム既存のブレーキシステムを併用するシンプルかつ高効率な減速回生システムを新規に開発した。このシステムは,アクセルオフ時にエンジンブレーキ相当の回生を行うだけではなく,ブレーキオン時も回生を行う。その際,ブレーキ踏み込み量に応じて回生量を増大させると同時に摩擦ブレーキを併用させることで,減速エネルギの回生と自然なブレーキフィールを両立している。Fig.4に回生制御の概念図を示す。DecelerationVehicle DecelerationBrake PressureDecelerationby Friction BrakeDecelerationby RegenerationFig.4 Concept of Regeneration Control in Braking2.3パッケージングモータ,トランスアクスルなどの駆動システム,及びインバータ,DC-DCコンバータ/車載充電器をモータルーム内に配置した。また,駆動用バッテリパックをフロア下に搭載することで,ベース車のスペースユーティリティを犠牲にしないパッケージングを実現した。また,リヤのスペアタイヤパン内には100V給電システム(メーカオプション)の搭載が可能である。Fig.5に各コンポーネントの搭載図を示す。―115―