ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30
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マツダ技報 2012 No.30
No.30(2012)マツダ技報ことを図った。近年,排ガス浄化の観点から主流である4-1集合タイプの排気マニホールドは各ポート長さが短い。従って,次工程気筒までのバルブ間距離が短いため,例えば,Fig.3において,3番気筒の排気行程で排出された排気圧力波は,1番気筒の排気バルブが閉じる前に到達し,1番気筒の残留ガスの排出を阻害する。これが,いわゆる気筒干渉である。これを抑制するためには,先の例で述べた3番気筒の排気圧力波が,1番気筒の排気バルブに到達した時には,排気バルブは既に閉じている状態にまで,バルブ間距離を十分長くとることが必要である。これにより,筒内残留ガスを低減することで筒内温度を大きく下げ,ノッキングの発生を大幅に低減できた(2)。4.3サイレンサの最適配置マニホールドでの排気脈動を活用する場合,排気圧力波の偶数回の往復時には,エキゾーストバルブ近傍は正圧となり,掃気効果が得られない。そこで,下流にある2つのサイレンサ(プリ/メイン)での反転負圧波も活用した(Fig.5)。狙いの同調回転数をもとに搭載位置とプリサイレンサ仕様を適正化し,マニホールドの正圧反転波の影響を打ち消すことで,更に広範囲でのトルク改善効果を得た。特にプリサイレンサの諸元(径,長さ,吸音材等)によって,メインサイレンサへの脈動波分配が変化するため,CAEを用いて最適化を行った。ScavengingEngine SpeedPre-SilencerMain-Silencer2000/30005000rpm2500rpm1500rpmReverse from Exhaust manihold1500rpmReverse from Pre-SilencerReverse from Main-SilencerFig.3 Advantages of 4-2-1 Exhaust System (2)(2)排気脈動を活用した掃気改善更に従来エンジン比,15%のトルク向上のためには,気筒干渉の抑制に加え,より積極的に筒内の残留ガス量を減らし,新気の充填効率を上げることが必要である。排気の圧力脈動は,ブローダウン後,マニホールド集合部の開放端で反転波となり,奇数回の往復時にエキゾーストバルブ近傍に負圧を生じる。この負圧を活用し,残留ガス量を低減(掃気)することで,更なる充填効率向上が可能となる。4.2 4-2-1排気系の諸元決定上記2つの要件から,排気マニホールドは4-2-1のロングポートタイプを前提とした。目標とするトルクの特性に合わせ,負圧波を活用する回転数(同調回転数)を決定し,マニホールド集合部までの長さなどの諸元を決定した。集合部などの形状検討から評価までのサイクルを短縮するため,CAEおよび実機でのスピーカによる音響加振テストを行い,性能検証した(Fig.4)。Cylinder Pressure (MPa)0.4Reverse from Exhaust manifold Composition Wave0.20180 200 220 240 260 280 300 320 340 360 380 400-0.2Valve Overlap-0.4Crank Angle (deg)Fig.5 Optimization of Exhaust Pulsation by Silencers4.4低抵抗排気系上記,4-2-1排気の性能を更に有効に発揮させるためには,排気脈動波のスムースな伝達が必要である。マニホールドから下流の排気系の抵抗を従来比,約20%低減した。キャタリストには低抵抗担体を新規採用し,排気系経路は,曲りの少ないストレート構造とした。サイレンサは大容量の拡張構造とし,デュアルテールパイプとの組み合わせにより,排気抵抗低減と消音機能を両立させた。加えて,低抵抗吸気系,吸気レゾネータチューニングやエンジン本体の改善によって従来エンジン比,約15%のトルク向上を達成した。また,メインサイレンサは車両後方に配置し,走行中の車両下面の風流れを形成する空力パーツとしての機能を付加し,車両の空気抵抗低減にも貢献している。Fig.4 Image of Acoustic Excitation Test―5―