ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30
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マツダ技報 2012 No.30
No.30(2012)マツダ技報グラム別に分割並行開発した。3.2制御プログラムの実装VCMの制御プログラム開発には,制御系CADであるMATLAB/Simulinkを採用した。このとき,VCMの入出力回路にアクセスするために,VCMのハードウェアに適合する専用インターフェース制御ブロックを独自開発し,プログラム開発環境に組み込んだ。これによりMATLAB/Simulinkのオートコード機能を最大限活用できるようになり,ソフトウェア設計~実装~検証という開発サイクルを短縮し効率的な開発が可能になった。機能別に並行して開発されるプログラムは,ソフトウェアのバージョン管理ツールを使用してそれぞれの変更履歴を細かく管理した。またソフトウェア管理上のルールを明確に定め開発者間でこれを遵守する体制を築くことで,組み合わせ違いなどによる機能不全などの混乱を未然に防止した。3.3 HILSによる検証開発した制御ソフトウェアは,それぞれのユニットごとにHILSで動作を検証し,更に,これらのHILSを相互に接続してデミオEVの高電圧系全体をシミュレーション可能なHILSを構成して,システム故障に対するVCMの動作(フェイルセーフ)を確認した。HILSは制御対象の動作を再現したシミュレーションモデルによって実車両で制御ユニットに入力される電気信号を模擬し,その電気信号を制御ユニットに力設入力して制御ユニットやそのプログラムの開発・検証を行う技術である。従って,HILSを構成するためには,制御対象のシミュレーションモデルが必要であり,デミオEVの制御開発でも,従来の内燃機関車両にはないインバータ/モータ駆動系およびバッテリに対して,独自にそのシミュレーションモデルを作成した(Fig.5)。Inverter? d??vde qd ? ?R? L ? ? Ldt??id ? ? 0 ??v? ? ?d ??qi? ? ? ?? ? ? ?q e aeLdR ? L ? ? ? ?q?? ??dt ?T ? P ? i ? ( L ? L ) i i (2)?en?a qdqd q?(1)v d/vq: d/q軸電圧,i d/iq: d/q軸電流,R:巻線抵抗,Ld/Lq: d/q軸インダクタンス,Ψa:鎖交磁束,ωe:電気角速度,P n:極対数T T J? ? ? (3)emJ:イナーシャ,T e:モータトルク,T m:負荷トルクω:機械角速度デミオEVは巻線切り替え機構を備えたモータを搭載しており,回転数に応じて使用する巻線状態が動的に切り替わる。上記電気系モータモデルの(1)式(2)式のパラメータはモータの形状やコイルの巻方で決まるため,巻線を低速側から高速側に切り替えることでこれらのパラメータが変化するが(1),モータの機械系は切り替えによって変化しないため機械系モデル(3)のパラメータは変化しない。モータの2つの巻線状態に対してそれぞれ電磁界解析を行って電気系モデルのパラメータを抽出してマップ化し,回転数に応じてこれを切り替えることで巻線切り替えを備えたモータをモデル化した。(2)バッテリHILSバッテリに対しても,電力要求に対する電流応答を電解液中と電極中で異なるイオン拡散速度を反映した2段RC回路をベースにモデル化した(Fig.6)。このモデルをシミュレータに搭載し,パック内で96直列に接続されたそれぞれの電圧を出力してバッテリコントローラに入力したHILSを構成し,高電圧制御系の動作検証を進めた。Diffusion PolarizationR 2R 1Internal ResistanceR 0High Voltage BatteryHigh Voltage CircuitMotorReductionGearsC 2C 1High Voltage BatteryModelsControl CircuitFig.5 Motor and Battery ModelMotor/DriveTrain Models(1)モータ・駆動系HILSモータは電気エネルギを機械エネルギへ変換するデバイスであることから,モデルは大きく分けると電気系モデルと機械系モデルから構成されている。電気系モータモデルは,式(1)式(2)に示すdq軸基本モデルをベースにしてモデル化を行い,また,機械系モデルは式(3)に示す回転運動の運動方程式をベースにMATLAB/Simlinkを用いてモデル化を行った。Fig.6 Principle of Battery Models(3)車両HILS上記モータ/バッテリのHILSに加え,車両や急速充電器などを模擬する車両HILSを接続し,計3台のHILS構成でEVシステム全体の制御系開発を行う環境を整備した(Fig.7)。3台のシミュレータは光ファイバで接続され,各モデル間の演算パラメータを高速で授受することで,1台の車両として振る舞う。EVは複雑にシステムが絡み合っており実車での確認が困難であるが,複数のHILSを接続し,各コントローラを―133―