ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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概要

マツダ技報 2012 No.30

No.30(2012)マツダ技報ヤへ伝達される。また,減速時の制動力はモータにより回生され,電力に変換され,再びバッテリに電力として蓄えられる。通常充電時には一般電源からの供給電力が④充電器・DC-DCコンバータユニットを介して高電圧バッテリ電圧に昇圧され,充電される。また,高電圧バッテリから一般電装品用の12 Vバッテリへの電圧変換もこのユニットで行われる。他にも,各ユニット間への配電ボックスである⑤ジャンクションボックスや,車両の電気駆動システムを制御する⑥ビークルコントロールモジュール(VCM),メンテナンスやレスキュー時の安全作業のために高電圧回路を意図的に解除する⑦サービスプラグ,⑧エアコン用電動コンプレッサや⑨PTCヒータ(暖房用電熱ヒータ)などの高電圧システムが装備されており,それぞれが⑩高電圧ハーネスにより結線されている。工夫した。これにより,衝突時の車体変形や衝撃からのバッテリ保護を可能とした。また,バッテリモジュールは,アルミ製フレームの筐体で包み込む構造とすることで,複数の構造体で保護するようにしている。これは,特に市場事故での電柱や立木に側面から衝突するといった局部的に大きな車体変形が発生する事故を想定した場合でも,バッテリモジュール本体の破損による感電や漏電火災を防止するための配慮である。4.衝突時の高電圧安全確保のための対応本章では,デミオEVにおける特徴的な高電圧安全の工夫点について詳細を解説する。高電圧バッテリの保護構造詳細,および,FEM解析を用いた性能予測,実車衝突試験による評価結果について紹介する。最後に,衝突検知式高電圧電源遮断システムについて述べる。4.1高電圧部品の基本レイアウトデミオEVの高電圧バッテリの基本レイアウトについて紹介する。Fig.2に示すように,高電圧バッテリや高電圧ハーネスをはじめとする高電圧部品は乗員が直接触れることができないようにキャビン外側にレイアウトしている。これは衝突時に乗員が高電圧のバッテリターミナルや高電圧ハーネスに直接接触し感電するのを防ぐことを目的としている。また,高電圧バッテリと高電圧ハーネスをフロントフレーム(サイドメンバ)やサイドシル,フロアフレームといった骨格部材より車体内側に配置し,衝突時の変形が及びにくい部位にレイアウトし保護する考え方である。Fig.3 Mounting Electric Drive Battery4.3モータルーム内の高電圧部品の保護構造デミオのフロントフレームは,前面衝突時に先端部が軸圧縮して衝突エネルギを効率良く吸収した後,エンジンルーム内のクラッシュスペースを十分に使い切るためにフレームを曲げ変形させる構造を採用しエンジンルームでの衝突エネルギ吸収を最大化させている。デミオEVにおいても同じフロントフレーム変形モードを実現させるため,インバータ等の高電圧部品のレイアウトに配慮した。これは,Fig.4,5に示すようにインバータや充電器などの高電圧部品は左右のフロントフレーム間を橋渡しする2本のクロスバーの上に配置することで,高電圧部品の前突時のフレーム変形への影響を回避するとともに,高電圧部品のフロントフレーム間へのレイアウトを可能とした。これにより,前突時のフロントフレームによるエネルギ吸収と高電圧部品の保護を実現している。また,前出のクロスバーをマスタバックとABSユニットに意図的に干渉させることで前突時のハーネス生存空間を確保し,このゾーンに高電圧ハーネスを集中配置することで衝突時のハーネスの破損を防いでいる。Fig.2 Layout of High Voltage Cable and Battery4.2高電圧バッテリの保護構造デミオEV高電圧バッテリの保護構造について紹介する。Fig.3は,ベース車であるデミオのホワイトボデーとバッテリ形状を示している。骨格フレーム内に最大限のバッテリ搭載ができるようにレイアウトや形状や取り付け構造を―137―