ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30
- ページ
- 15/264
このページは マツダ技報 2012 No.30 の電子ブックに掲載されている15ページの概要です。
10秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは マツダ技報 2012 No.30 の電子ブックに掲載されている15ページの概要です。
10秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
マツダ技報 2012 No.30
マツダ技報No.30(2012)5.車両搭載のためのブレークスルー上記の通り,4-2-1排気系はSKYACTIV-Gのコンセプト実現のために不可欠なキー技術である。しかし,実際に量産車へ搭載して機能を発揮するためには,背反する排ガス浄化性能,商品性(振動,こもり音),車両搭載スペースなどの課題を構造や燃焼,制御の工夫によってブレークスルーする必要があった。5.1車両搭載性課題排気系を量産車へ搭載する場合,マニホールドやサイレンサ以外に排ガス浄化装置(以下,キャタリスト)や振動吸収構造(以下,フレキシブルチューブ)が必要である。両者とも機能上,できるだけエンジンに近づけて配置する必要がある。4-2-1排気系を従来の発想で搭載した場合,キャタリストが前席の足元付近に配置されるため,足元スペースが狭くなる。また,重量物であるキャタリストが,エンジンから離れた配置となるため,不快な振動やこもり音の発生要因にもなる。“ループ型“排気系の開発4-2-1排気系の搭載性課題を解決し,性能を発揮するため,従来の発想から転換し,マニホールド,キャタリスト,フレキシブルチューブがエンジンルーム内にコンパクトに収まるよう,“ループ型”とした(Fig.6)。これによって,主要部品をエンジンルーム内に納めることで搭載性の課題を解決できた。重量物であるキャタリストはエンジンブロックに直接固定できるまで近づけることが可能となった。同時にフレキシブルチューブの位置もエンジン近くに配置することが可能となり,下流排気経路のストレート化と合わせ,振動やこもり音の発生を抑えた排気システムとすることができた(Fig.7)。しかし,マニホールドのループ化に当たっては,排気脈動への影響が懸念される。そこでパイプ曲げ角度/曲げ半径,集合部形状,集合角度などの要素に着目した。簡易モデルを樹脂で作成し,前述の音響加振テストによって,それぞれの要件を明確化し,設計時に守るべき基本形状要件を決定した。5.2「モノ造り革新」による製造革新従来,サプライヤの製造ラインでは機種ごとに専用の製造ラインが設けられていた。そのため,マツダの生産変動により,サプライヤの製造ラインの稼働率が変動してしまう。そこでマツダが取り組む「モノ造り革新」をサプライヤの製造ライン構想に展開し,機種ごとの専用から機種を超えたフレキシブルな混流製造ラインの構築を目指した。そのために,生産/設計/サプライヤの技術者が協働で製造ラインの「標準構造化」を検討した。その結果,新型アクセラの4-1排気系およびCX-5の4-2-1排気系の部品(Fig.8)は上記の標準構造の製造ラインで混流生産されている。Fig.6“Loop type”4-2-1 Exhaust SystemFig.7 Packaging Breakthrough by Loop Type ExhaustSystemFig.8 Exhaust Manifold of New AXELA and CX-5標準構造のなかでも“ループ型”4-2-1排気系は,複雑かつ部品点数の多い構造となっている。標準構造ラインへ適合するために,開発初期から「構造最適化」による工程削減および「同時セット同時加工」化による工程集約を主眼に置いて活動してきた。例えば,マニホールドの溶接においては,1工程内で溶接トーチがすべての溶接箇所にアクセスできるよう,溶接トーチの軌跡を考慮し,パイプの経路や形状を検討した(Fig.9)。更に構造および形状の最適化により,複雑な形状でありながら,従来の部品と比べ,工程数を30%低減し,将来の機種展開にも対応し得るフレキシブルかつ,高効率な製造ラインを構築することができた。―6―