ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30
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マツダ技報 2012 No.30
No.30(2012)マツダ技報特集:安全29衝突安全開発におけるCAEの進化Evolution of CAE Technology in Crash Safety Development河野勝人*1朝日龍介*2杉本繁*3Katsuhito KounoRyusuke AsahiShigeru Sugimoto上野正樹*4*5小島宏介花田裕*6Masaki Ueno Kosuke Kojima Yu Hanada要約マツダでは「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」を持つ商品の開発を目指している。その中で,衝突安全開発においては,安全性能と軽量化という背反する課題を高次元で両立させるために,CAE(Computer Aided Engineering)を駆使して車両構造を開発している。SKYACTIV-ボデーに代表される車体開発においては,高精度なCAEモデルを用いて,衝突荷重を効率的に分散させるマルチロードパスコンセプトを採用した新しい構造を作り上げた。更に,この車体モデルと高精度なダミーモデル,内装・拘束装置モデルを組み合わせ,車体変形挙動から乗員傷害値まで予測可能なCAE技術を開発した。この技術をCX-5開発にフル適用し,世界トップレベルの衝突安全性能を実現した。SummaryTo develop a vehicle that offers“driving pleasure”and“excellent environmental and safetyperformance”, we made full use of CAE (Computer Aided Engineering) in developing crash safetyperformance, with an eye to achieving two conflicting targets: A high level of safety performanceand weight reduction. In developing the new vehicle structure, which is represented bySKYACTIV-BODY, we analyzed the loads transferred to each part of the body by use of highlyaccurate CAE models. This led us to develop a“multi-load path”structure in which loads aredispersed across multiple parts of the body. In addition, by a combination of this body model, highprecisiondummy model, and interior and restraint system model, we developed a CAE technologythat makes it possible to even predict body deformation behavior and occupant's injury value. Byfully applying this technology to the CX-5 development, we were able to achieve a world’s top-levelcrashworthiness.1.はじめにマツダでは,技術開発の長期ビジョンである「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」に基づき,マツダ車を購入いただいた全てのお客様に「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」の提供を目指して商品開発を行っている(Fig.1)。それを具現化したのが現行デミオ以降導入しているSKYACTIV技術である。特にCX-5以降では,クリーンディーゼルに代表される新世代のパワートレイン技術と並んで,世界トップレベルの衝突安全性能とクラストップの軽量化を両立するSKYACTIV-ボデーを開発し,これから順次新型車に展開していく予定である。SKYACTIV-ボデーの開発においては,衝突安全性能と軽量化という背反する課題を高次元で両立させるために設計段階で徹底的にCAEによる検討を行い,車体構造を最適化させた。具体的には,衝突エネルギを無駄なく車体各部に伝達・吸収させるために,フレームの配置や形状の最適化や高張力鋼板の適用領域拡大の検討を行った。更に衝突時の乗員保護のため,車体変形を分析した上で,乗員に伝わる衝撃を吸収するインパネやトリムなどの内装部品,乗員の挙動をコントロールするシートベルトやエアバッグ*1~4衝突性能開発部*5,6NVH性能・CAE技術開発部Crash Safety Development Dept.NVH&CAE Technology Development Dept.―151―