ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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概要

マツダ技報 2012 No.30

マツダ技報No.30(2012)4.2システム構成更に,本センサで用いている近赤外線技術は,一般的なSCBS,及び,AT誤発進抑制制御システムは,新たに開発したレーザセンサを中心に,ダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)ユニット,パワートレイン・コントロール・モジュール(PCM),ボデー・コントロール・モジュール(BCM),及び,メータで構成する。各ECUをCAN(Controller Area Network)で接続し,双方向の通信によって制御している(Fig.5,6)。家電製品のリモコン等にも使われているもので,その仕組みや構造が簡単なため,ハードウェア的に比較的安価に実現することができる。性能,コスト面から見て,低速域での障害物検知に用いるセンサとして最適であるといえる。なお,本センサは前述の物標検知機能に加え,SCBSにおける衝突被害軽減ブレーキの目標演算機能も併せ持つ。具体的には,算出した先行車両の情報(距離,相対速度)と自車両の情報(車速,舵角,アクセル開度,等)を基に衝突の危険性を判断し,衝突の可能性が高いと判断した場合にブレーキ作動要求をDSCとPCMに対して送信する。Laser SensorMeterDSCPCMFig.5 Parts LayoutPCMMETERFig.7 Sensor MountVehicle SpeedSteering AngleThrottle PositionLaser SensorCalculate aTarget ofAccelerationWarningSoundControlWindshieldCalculate aTargetDecelerationWarningControlDisplayControlObjectObstacleDetectionDSCBrakeControlBCMBrakeLampControlFig.6 System ConfigurationFig.8 Sensor Appearance(1)レーザセンサ(2) DSCユニットフロントウィンドシールド中央上部の車室内側にレイアウトされ(Fig.7,8),車両前方の先行車や障害物などの物標を検知する。物標の検知には近赤外線反射式を採用しており,センサ送信部より照射された近赤外線が対象物に反射して返ってくる反射波をセンサ受信部で捉え,送信から受信までの時間差を測定し,物標との距離と相対速度をセンサ内で算出している。移動物に加え静止物の検知も可能なほか,反射波の方向と信号強度によって物標の位置を車両前方センタ,左前,右前の3つのエリアで識別する。本センサのセンシング範囲は車両前方数メートル程度の近傍にとどまるが,外部環境による性能劣化が少ないのが特徴で,日射など外乱光を受けるような環境下や夜間,トンネル内でも影響を受けることなく精度良く物標を検知することが可能である。また,雨や雪,霧といった気象環境による影響も小さく,ロバスト性に優れている。レーザセンサからのブレーキ作動要求に従いブレーキアクチュエータを制御するとともに,衝突被害軽減ブレーキ制御時はこれに同期してストップランプ点灯要求をBCMに対して送信する。また,SCBSによるブレーキ制御中に,ドライバによる所定以上のブレーキ操作があった場合はブレーキ・アシスト機能によって制動力を高め,衝突被害を一層軽減する。なお,SCBSに係るブレーキ制御機能は,ソフトウェアの追加により従来のDSC制御機能を拡張することで実現した。(3) PCMレーザセンサからのブレーキ作動要求に従いSCBSのエンジンブレーキ制御を行う。また,レーザセンサからの物標情報をもとに,アクセルペダルの踏込量(アクセル開度)と自車速に応じて目標加速度を演算し,AT誤発進抑―158―