ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

No.30(2012)マツダ技報Warning Light Brake Hard BrakeDRSS FOW 1st Brake 2nd BrakeDisplay the distance depending on the vehicle speedFig.5 SBS FunctionTime to collision4. SBSの機能/性能向上についてSBSの機能は,通常走行状態から衝突に至るまでの間で段階的に安全上の価値を提供するものであり,そのサポートのイメージをFig.5に示す。4.1減速量の向上自動車事故の速度域ごとの死傷事故数の割合をFig.6に示す。自動車事故のデータ(3)の分析結果によると,速度域が0~30km/hまでの走行では軽傷事故が多いが,40~60km/hでは死亡事故の比率が大きくなっている。Fig.6 The Rate of Fatal and Injury Accidentこの分析結果より,衝突速度を20~30km/h下げることができれば,少なくとも60 km/h以下の死亡者数を大幅に減少させ,20 km/h以下の事故数を減少させることができると考えられる。そこで,現行のシステムは,減速量が平均10km/h程度であったが,平均25km/hまで向上させることを目標とした。そのため,減速量の向上と,自動ブレーキ作動タイミングの早期化に取り組んだ。始めに,自動ブレーキによる減速量を向上させるために,最大減速度をこれまでの5.1m/s2から6.5 m/s2まで引き上げた。次に,タイミングの早期化のため,ミリ波レーダの物体認識および作動判断ロジックの改良に取り組み,物標の信頼性を加味した。主な取り組みは次の2つである。①ミリ波レーダは,対象物の幅や上下の位置を認識することが難しいため,遠方の上下方向の衝突しない構造物を制御対象と認識してしまう。その対策として,レーダの受信状態による属性判断(道路標識やマンホールなど)を基に制御対象から除外した上で,一定時間正しく検出された制御対象を信頼性の高い対象と判断し制御を開始することとした。②進行路外の構造物を制御対象としないよう,レーダによる静止物体列の情報を基にヨーレート情報の補正を行い推定進行路の精度を向上させた。これらにより,誤検知による警報などの不要作動を抑え,移動車両に対しては,平均25km/h減速させ,静止車両に対しては,自車速30km/h以下であれば衝突直前で停止させることを可能としている。4.2警報機能の高機能化米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は衝突安全テストのNCAP(New Car Assessment Program)の評価に,前方衝突警報システムの要件を設定している。また,米国道路安全保険協会(IIHS:Insurance Institute forHighway Safety)は,「トップセーフティピック」(TSP)の要件において,前方衝突警報システムの事故低減効果に関心を持っている。こうした状況を踏まえ,マツダではNCAPに適合した前方衝突警報(FOW)を開発した。SBSの警報感度設定は,前方衝突警報システムの要件に適合した設定(Far)と,市街地のような繁雑な交通環境で過警報を抑えることを考慮した設定(Near)の2段階設定とした。更に,両方のセッティングにおいても,市場での過警報を抑えるために,相対速度差によって,タイミングの調整を行う制御を追加した。また,減速度を加味して警報の早期化を行うことによって,前方衝突警報システムのテストモード(追従状態から先行車両の急減速に対する試技)に対応させた。4.3ディスタンス・レコグニション・サポート・システム(DRSS)の開発予防安全の究極はドライバにリスクを正しく認知させ,ドライバ自身でリスクマージンを確保できる車と考えている。リスク認識のフロントローディングとしてSBSが作動する領域に近づかずに,ドライバ自身が車間距離を意識して運転できるように,前走車との車間情報を提供する機能を開発した。DRSSの主な機能は,先行車両の有無,先行車両までの距離,車間距離が狭い状態であることをドライバに認識させるよう,メータ内のディスプレイにそれらを表示することである。―163―