ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

No.30(2012)論文・解説35マツダ技報磁界CAEを用いたアドバンストキーレス開発Development of Advanced Keyless SystemUsing Magnetic Field CAE吉田俊秀*1浜田康*2沼元正樹*3Toshihide YoshidaYasushi HamadaMasaki Numoto稲田貴裕*4Takahiro Inada要約車の利便性を高める商品として,アドバンストキーレスシステムやイモビライザシステムなどの,磁界通信を用いたシステムの導入をマツダは進めてきた。これらシステムの通信性能を確保するためには,磁界送信用のコイルアンテナ(以下LFアンテナ(LF: Low Frequency))を,車両の適切な場所にレイアウトする必要がある。従来は,試作車を用いて実験的にLFアンテナのレイアウト設計を行ってきたが,試作車レス開発に対応すべく,バーチャル評価による通信性能開発が必要となってきた。今回,磁界シミュレーション(以下CAE)技術を用いて,これらシステムの通信性能を机上で検証可能な技を開発した。SummaryMazda has been promoting the introduction of systems using magnetic field communications,such as an advanced keyless system and immobilizer system, as products that enhance vehicleconvenience. To ensure the communication performance of these systems, it is necessary to lay outthe coil antenna for the use of magnetic transmission (hereinafter referred to as LF antenna) in anappropriate place of the vehicle. In the conventional design method, the layout of the LF antenna isdetermined experimentally by use of a prototype vehicle. To realize prototype-free development,however, it became necessary to develop the communication performance through virtualevaluations. This time, with use of the magnetic field simulation technology (hereinafter referred toas CAE), we have developed a technology to theoretically verify the communication performance ofthese systems.1.はじめに車の利便性を高める商品として,マツダはアドバンストキーレスシステムの導入を進めてきた。アドバンストキーレスとは,ユーザがFig.1に示すようなアドバンストキー(以下キー)をポケットやバッグから取り出すことなく,車両のロック,アンロックや,エンジン始動を可能とするシステムである。これを実現するために,車室内外にキーを検知するための検知エリアを形成する。この検知エリアは,LFアンテナに高周波電流を流し,LFアンテナを中心に磁界を発生させることで形成している。この形成した検知エリア内にキーがあれば,車両はキーと無線通信を行い,キーを持ったユーザが車室内もしくは車室外のどちらにいるかを判別できる。ここで,LFアンテナのレイアウトが悪いと検知エリアが不適切となり,誤検知を引き起こす要因となる。これは,高周波磁界の振る舞いが金属により大きく影響を受け車両の構成物により複雑に変化するためである。従来のLFアンテナレイアウト活動は,試作車を用いた開発が中心であり,試作車評価後の設計変更を前提とした開発となっていた。更なる開発の効率化が必要とされる昨今では,試作車中心の開発は回避する必要がある。*1~3電子開発部*4車両システム開発部Electrical & Electronics Development Dept.Vehicle System Development Dept.―181―