ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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概要

マツダ技報 2012 No.30

No.30(2012)マツダ技報これらの問題を解決するため,新しいアンテナの開発に着手した。Fig.1 Short Pole Antenna3.新アンテナ3.1開発方針前述の短ポールアンテナの問題点を踏まえ,以下のような開発方針とした。(1)風切り音の発生の心配がなく,車のデザインを阻害しないコンパクトでスタイリッシュな形状とする(2)開発の効率化のため,全仕向けに対して同一の外観サイズ/形状とする。欧州の規制対応のため,アンテナ高は70mm以下とする(3)短ポールアンテナと同等の性能を確保する3.2基本構造上記の開発方針を基に形状,アンテナ方式を検討した結果,以下のような構造を導いた。幅77.1mm,高さ68mmのサメのヒレ(シャークフィン)に似た形状の樹脂カバー(Fig.2)の内部に,対向させた2枚1組の基板からなるAM/FMラジオ受信用アンテナ(以下AM/FMアンテナ)とその前方にシリウスラジオ受信用アンテナ(以下シリウスアンテナ,米仕向けのみ)を配置した(Fig.3)。(1) AM/FMラジオ受信用アンテナFig.4は一般的なAM/FMアンテナの等価アンテナと特徴について説明した表である。車載用AM/FM用ポールアンテナは,4分の1波長のモノポールアンテナの動作原理を利用している。これに対して,短ポールアンテナは,ヘリカルコイル素子を用いてアンテナ長の短縮化を実現している。新しいアンテナの更なる低姿勢化へのアプローチとして,短ポールアンテナと同様に,ヘリカルコイルによる短縮化手法を用いているが,大幅な低姿勢化による放射抵抗の低下とコイルの高Q値化に起因する,利得の低下と狭帯域化の克服が課題となった。このため,1) 2枚の基板を組み合わせたコイル径拡大,巻きピッチ低減によるアンテナ単体特性の改善,2)アンテナアンプの低NF(雑音指数)化,及び高利得化,3)整合回路によるアンテナ素子&アンプのマッチング等の技術を駆使し,短ポールアンテナに対する性能低下を最小限にしている。なお,ケース側にアンテナ素子を追加してアンテナ高を稼ぐ方法も考えられるが,後述するシリウスアンテナとの複合化を考慮し不採用とした。Fig.5は実際のAM/FMアンテナ素子の外観写真である。Fig.6はシャークフィンアンテナの利得の周波数特性である(FM帯,アンテナアンプは未使用)。短ポールアンテナに対し,約7dBの利得差があることがわかる。次に,Fig.7は高利得アンプとマッチング回路を組み合わせた場合の利得である。短ポールアンテナと同等レベルが達成できている。車載ラジオと組み合わせた総合感度評価においては,短ポールアンテナと比べて,若干の感度低下は認められるものの,実用的な性能が得られている。199.45Fig.2 Upper View & Side View of Shark-fin AntennaFig.3 Inner Structure of Shark-fin Antenna6877.1―187―