ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30
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マツダ技報 2012 No.30
No.30(2012)マツダ技報4.軽量化・機械抵抗低減4.1ピストン,クランク系Fig.4にDE,GEの機械抵抗総量の比較,Fig.5にDEの各部品の抵抗比率を示す。前モデルのDEはGEに比べ機械抵抗総量が約1.5倍高い。その中でもピストン,クランク系の機械抵抗は全抵抗の約半分を占めている。(3)既存DEはGEに比べPmaxが高く,ピストン,クランク系に加わる荷重が大きい。そのため荷重に応じた剛性に設定することから重量が重く,耐焼付き性から摺動部や軸受部の面積を広く設定するため,機械抵抗が大きい。それに対してSKYACTIV-Dでは低圧縮比の採用によるPmax低減とクランク軸オフセットを採用することでピストン,クランク系に加わる荷重を低減した。その結果下記のように軽量化や機械抵抗低減を行うことができた。FMEP (kPa)20kPa2000rpm w/o pumping lossOthersCrankshaftPiston4.2オイルポンプ,ウォーターポンプ,補器駆動系オイルポンプは,IDEVA,2T/C等,全モデルと比較して油圧を要するデバイスが増加したが,オイル通路の最適化等により最小限のポンプ容量増加に抑えた。また油圧フィードバックシステムと電子制御2段油圧切り換え機構を採用し,実用域と高負荷域の油圧切り替えにより,必要最低限まで油圧を抑えることで機械抵抗を前モデル比約22%低減した。ウォーターポンプはインペラをシュラウド付き形状にすることで効率を改善した。また冷却を要するデバイスの水経路の最適化するとともにシリンダヘッド内冷却水方向をシリンダごとに排気から吸気側に水が横に流れるように設計し,高流量時の流量抵抗を下げた。補器駆動系は油圧式オートテンショナや1WayCluchの採用によりベルトのスリップや弦振動音を抑えつつベルト幅,張力を低減させることで,ウォーターポンプ含む補機駆動系の機械抵抗を前モデル比約40%低減した。以上による軽量化およびシリンダブロックのアルミ化や部品点数の削減により,エンジン全体の重量を前モデル比約20%低減した。また全体の機械抵抗は約26%低減することができ,従来GE並みの機械抵抗レベルを達成した。600140Previous DE ModelCR 16.3Previous GE ModelCR 10SKYACTIV-DCR 14Fig.4 Comparison of Mechanical ResistanceValve Train8%Balance Shaft6%Water Pump11%Accessories13%Oil Pump12%Piston34%Crank17%Fig.5 Breakdown of Diesel Engine Mechanical Resistanceピストンは圧縮高さや各部肉厚の最適化を行うことで前モデル比約26%重量低減した。またスカート剛性や面積を低減することで前モデル比約28%機械抵抗を低減した。ピストンリングはシリンダブロックのアルミオープンデッキ化によりボア真円度が向上した効果とオイルリング摺動面に採用したハーフバレル形状による油膜のせん断力低減により,オイル消費性能を前モデル比約20%向上しながらも機械抵抗を25%低減した。クランクシャフトは荷重低減と剛性バランスの最適化によって,クランク軸の細軸化を行った。それにより,機械抵抗を前モデル比約40%低減した。Torque (Nm)500400300SKYACTIV-D 2.2L200Previous Model 2.2L10010002000300040005000Engine Speed (rpm)Fig.6 Engine Performance5.パフォーマンス1201005.1出力性能従来モデルのエンジンは出力を増加させるためにPmaxを増大する手法を利用していたが,SKYACTIV-Dは低圧縮比にして同じ吸気量を導入しても圧縮上死点での圧力を抑えることができる。そのため従来モデルより低いPmaxでFig.6に示すように最高出力129kWを4,500rpmで出し,前述のピストン,クランクの往復回転系の軽量化のおかげで使用可能な回転領域を5,200rpmまで拡大して,伸びやかな加速ができるようにした。最大トルクは420Nmを2,000rpmで出し,1,500rpm以下のトルクを現行エンジンより20-45%改善した。その結果,Fig.7に示すように車両走行において低速からの加速性能を前モデルより大幅に改善することができた。806040Power (kW)―11―