ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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概要

マツダ技報 2012 No.30

マツダ技報No.30(2012)(2)本物感自然素材の場合は,素材ごとに適切な形状や風合いがある。しかし,自動車に用いる素材は重量やコスト,難燃性や耐候性のために使用できる素材が限定され,自然の素材と異なる印象を受けることがある。1つの原因として,表面の色やツヤ,シボとよんでいる凹凸形状が自然素材と異なるために違和感を与えていることがある。また,見て受ける印象と触ったときの感覚を一致させることも重要となる。異方性反射分布関数(BRDF : Bidirectional ReflectanceDistribution Function)を計測し,結果を表面材質のデータとして使用する。また③の段階では,実車評価を行うテスト場光源を計測し,結果を用いて光源モデリングを行う。最後に⑤Renderingの実施前に光学計算させることで,表面で起こる現象を忠実に再現した(Fig.3の赤枠部)。表面質感評価まで適切に行うことを目的とするこの技術は,美しさや本物らしさを追求する一般的なCGとは一線を画したマツダオリジナルのCG技術である。Fig.1 The Concept of New Craftsmanshipデザインクラフトマンシップでは,質感を高めるために,造形や表面材質の仕様を決める段階(Fig.2)で,実車状態の良し悪しを評価し検証精度を上げる必要がある。我々は,これまでインストルメントパネル(IP)やドアトリムの表面質感の評価用としてバーチャル技術を開発し部品単品に適用してきた(1)。その技術の評価対象エリアを内装品全体へ拡大し,適用できるよう技術開発に着手した。本稿では,質感バーチャルの技術開発の取り組み内容と,CX-5,新型アテンザへの適用事例を紹介する。Fig.3 Flow of Making CG2.2デザインクラフトマンシップ適用への課題デザインクラフトマンシップで拡大した評価項目に対し,バーチャル検証を可能とするために,再現すべき項目と,質感バーチャルでの再現状況をまとめた(Table 1)。Table.1 Virtual Required Contentsfor Design CraftsmanshipEvaluationFig.2 Flow of Vehicle Development and Virtual Timing2.質感バーチャル技術のデザインクラフトマンシップへの適用課題2.1質感バーチャルの基本原理一般的なコンピュータグラフィックス(以下CG)はFig.3に示すような①~⑤のフローで作成される。フロー内の②Surface Mappingでは,色の設定や表面材質として使いたい材質画像の貼り付けを行う。そして③Lightingで,作成者が対象物を見せたいように表現できるよう光源モデリングを行う。今回開発した技術では,②の段階で表面の凹凸形状や,質感をバーチャルで開発するために,「調和/スッキリ感」,「本物感」に関連の深い「色」,「ツヤ」,「輝度」,「部品形状」,「部品配置」の5項目を適切に再現することを目標とした。これらのCG再現に対して,以下の技術的な課題があった。―196―