ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

No.30(2012)マツダ技報論文・解説41走行場を学習し判断する創発型制御システムの研究Study on Emergent Control System to Learn and Judgethe Driving State古郡了*1*2山﨑卓*3黒田康秀*4農沢隆秀Satoru FurugoriTaku YamazakiYasuhide KurodaTakahide Nouzawa末冨隆雅*5*6氏家良樹*7中澤和夫*8松岡由幸Takamasa Suetomi Yoshiki Ujiie Kazuo Nakazawa Yoshiyuki Matsuoka要約自動車自体に高度な知能を持たせることにより,走行場の状態を判断し,適切な制御や情報表示を行う未来の乗り物の機能を検討している。本稿で提案する創発型制御システムは,未知の場であっても,その状態を判断し獲得する機能を持ち,様々な走行場に対応した新しい制御を創発していくシステムである。ドライバの意思に沿った制御をしていく新しいロジックにより,従来に比べリアルタイムの走行場推定が可能で走行状態の時間軸変化に細やかに対応できるので,より一層の安全性能・エネルギ効率の向上が期待できる。今回,ハイブリッド自動車の低燃費化とバッテリ寿命の長寿命化に適用し,効果を確認した。SummaryWe have been studying the future mobility in which the vehicle itself, with a high-level ofintelligence given, judges the driving state and exercises appropriate control and informationdisplay. The emergent control system proposed here is a system to learn and judge the driving stateeven in an unknown location and create a new control algorithm that can meet various drivingstates. New logic which enables vehicle control along the driver’s intention, allows the real-timeestimation of the driving state. Accordingly the system makes it possible to correspond to thechange of time axis finely and will be expected further improvement of safety performance andenergy efficiency. This time we applied it to the engine control of a hybrid vehicle with a view toimproving the fuel economy and the battery life and confirmed a greater effect than the ordinarycontrol system does.1.はじめに走行場を学習し,運転者の潜在的な要求をリアルタイムに判断する技術を開発することにより,①運転者の要求に対応した適切な情報を提示する,②適切なタイミングで警報を与え注意を喚起する,③制御を介入させ事故防止や環境負荷低減を図る,ことが可能となる。また,本技術は,安全・環境面での実利的な付加価値を向上させるだけでなく,運転者と車が意思疎通を図れ,愛着が増加するといった精神的な付加価値を向上させることが期待できる。しかし,覚醒低下や焦り運転など正常でない運転心理状態のために運転者の潜在的要求が適切でない場合は,自動車自体が何らかの判断基準を持ち,自動車・運転者系全体の総合的な評価が高くなるように制御介入する必要がある。そのためには,あたかも,助手席に着座している乗員が運転者の運転に異常がないかを見守っているような機能を持つ高度な知能システムを自動車に搭載する必要がある。高度な知能システムがリアルタイムに機能するようになれば,より一層の安全性能,エネルギ効率の向上が期待できる。近年,周辺環境や運転者の状態を計測する多数のセンサ*1~4技術研究所*5電気駆動システム開発室Technical Research CenterElectric Drive System Development Office*6~8慶應義塾大学Keio Univ.―209―