ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

575654555450No.30(2012)マツダ技報Indicated thermal efficiency [%]706050403010 20 30 40 50 60Compression ratioNMVM1VM2VM3VM4VM5Improvement ofcooling loss ratio [%]10080604020010 20 30 40 50 60Compression ratioNMVM1VM2VM3VM4VM5Conversion ratio fromimprovement of coolongloss to exhaust loss [%]10080604020010 20 30 40 50 60Compression ratioFig.7 Influence of Insulation Coat on Efficiency, Cooling Loss Ratio and Exhaust Loss Ratio (2,500[rpm], P i=300[kPa], ?=4)NMVM1VM2VM3VM4VM5Fig.8 Time History of Gas Temperature and Wall Surface Temperature (?=60, 2,500[rpm], P i=600[kPa], ?=3)動して?=25となる。行程容積の増加で冷却損失が低減するのは,式(7)から分かるようにVhが大きくなることによりSV比が小さくなるためである。次に,減筒(以下,レスシリンダ)化と過給ダウンサイジング化の影響を調べるため,圧縮比と空気過剰率の等図示熱効率線図を比較した。その結果をFig.6に示す。計算は単シリンダのみだが,Table 2のエンジン諸元は,4気筒の場合,総排気量2.0 [L]となる。これを一定として気筒を減じ,行程容積を拡大したものをレスシリンダ,また総排気量を縮小し,同一トルクになるよう過給したものをダウンサイジングとした。負荷は吸気圧力で調整し,図示熱効率はグロス値である。ベースに対し,ダウンサイジングで最高図示熱効率は低下し,その効率を示す圧縮比が低圧縮比側へ移動する。逆にレスシリンダ化では,最高図示熱効率は向上し,その圧縮比が高圧縮比側へ移動する。低圧縮比・理論空燃比では,ダウンサイジング化の図示熱効率への影響は小さいが,高圧縮比・リーン化が進んだ場合,その低下が無視できなくなる。その場合,レスシリンダ化と組み合わせれば,図示熱効率の悪化を抑制し,ダウンサイジングの長所(機械抵抗低減による正味熱効率向上やダウンスピーディングによる燃料消費量削減)を活かすことが期待できる。4.2断熱材の影響Fig.7に,断熱材を使用した時の圧縮比と図示熱効率,冷却損失低減率,低減した冷却損失が排気損失へ転換する割合(冷却損失低減の内,熱効率向上に寄与しない割合)の関係を示す。またFig.8に,断熱材別の筒内平均ガス温度とシリンダヘッド表面温度の変化を示す。Fig.7から断熱材により図示熱効率が向上しており,最高図示熱効率が得られる圧縮比が高圧縮比側に移動することt=1.0mmAl x310.0Specific Heat1.020.115959606158 58VM2605957VM1585657555655545352515150 5052515352534847 47 474948 4849 49NM (Al)VM40.0100 1VM3VM5423Al x0.00010.0010.010.11.0Heat ConductivityFig.9 Influence of Heat Conductivity and Specific Heat(?=40, 2,500[rpm], Pi=600[kPa], ?=4)が分かる。これは冷却損失が低減するためだが,図示熱効率改善の寄与率に大きな違いがある。例えば,図示熱効率の最大値はVM2(熱伝導率1/1,000)とVM3(熱伝導率1/100,比熱1/100)で同等だが,冷却損失改善率とその改善分が排気損失で失われる割合がVM2の方が大きい。Fig.8のガス温度と壁表面温度の時間変化から,VM3では上死点付近のみ壁面温度が上昇して冷却損失が低下するのに対し,VM2では壁面温度が一様に上昇してガス温度との差が小さくなり,冷却損失が低下している。壁の温度が1サイクルで一律上昇することは,吸気・圧縮行程ではガスが壁から受熱し,冷却損失の低減が,内部エネルギと排気損失の増大という別の損失へ転換される割合が大きいと考えられる。つまりVM2のように,壁の熱容量が大きいまま熱伝導率のみ低減しても,ガスから冷却水への冷却損失を抑制するだけで,1サイクルを通して見ると,ガスと壁の間で,依然として熱の授受が活発に行われている。Fig.9に断熱材の熱伝導率と比熱の等図示熱効率線図を示す。熱伝導率が小さいほど,比熱の影響が大きくなり,60 6058 5856 5654 5452 5250 5048 4846 46Indicated thermal efficiency [%]―217―