ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30
- ページ
- 228/264
このページは マツダ技報 2012 No.30 の電子ブックに掲載されている228ページの概要です。
10秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは マツダ技報 2012 No.30 の電子ブックに掲載されている228ページの概要です。
10秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
マツダ技報 2012 No.30
No.30(2012)マツダ技報論文・解説43ウェルドボンド用接着剤の市場劣化推定技術の開発Development of Technology to EstimateDeterioration of Structural Adhesives in Market氷室雄也*1定井麻子*2松井恵子*3Katsuya HimuroAsako SadaiKeiko Matsui住田弘祐*4*5山本研一Hirosuke SumidaKenichi Yamamoto要約接着とスポット溶接を併用したウェルドボンドは,構造の連続化による剛性,NVH性能の向上手段として適用が拡大している。しかし,ウェルドボンドに適用されるエポキシ系接着剤は,長期信頼性を確保していくうえで,特に吸水による経時劣化を抑制する必要がある。そこで,ウェルドボンド用接着剤の化学変化と接着強度の関係に着目し,吸水による経時劣化現象の定量化に取り組み,加水分解度合いという指標を新たに定義することで,市場での経時劣化の推定を可能にした。SummaryApplications of weldbonding, in which adhesive bonding and spot welding are combined, havebeen expanding as a means to improve stiffness and NVH performance. The epoxy-type adhesiveapplied to weldbonding, however, has the possibility of aged deterioration caused by waterabsorption. This may stand in the way of ensuring long-time reliability. With the focus placed onthe relationship between chemical changes of structural adhesives and its bonding strength, theaged deterioration caused by water absorption has been quantified and a technology to estimate thestrength deterioration of structural adhesives in market has been established by using the degree ofhydrolysis as an indicator.1.はじめにCO2の排出規制から,自動車の質量軽減,とりわけ車体に要求される軽量化目標は高くなっている。接着とスポット溶接を併用したウェルドボンドは,車体剛性,NVH性能の改善に有効であることから,鋼板の薄肉化が可能となり,車体の軽量化にも有効である。そのため,欧州メーカを中心にウェルドボンドの適用が拡大している。SKYACTIV-ボデーにおいても,構造の「連続化」の実現手段の一つとしてウェルドボンドを採用している(Fig.1青線部)。一方で,ウェルドボンドに適用されるエポキシ系構造用接着剤は,長期信頼性を確保していくうえで,特に吸水による経時劣化を抑制する必要がある。これまで,吸水量の増加に伴う接着剤あるいは接着継手の強度低下(1)や,吸水による接着剤の成分の溶出に伴う欠陥の発生や材料特性の変化が起こることが報告されているが(2),市場での経時劣化に関する報告はほとんどない。また,被着体の板厚,材質が違うと接着強度が異なるため,市場から回収してきた車両からウェルドボンド適用部位を切り出して,接着強度を測定しても経時劣化度合いを把握することは難しい。Fig.1 An Example of Application of Weld Bonding*1~5技術研究所Technical Research Center―219―