ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30
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マツダ技報 2012 No.30
論文・解説44マツダ技報No.30(2012)耐熱性と低温活性を両立した貴金属シングルナノ触媒PGM Single-Nano Size Catalyst withHigh Thermal Stability and Low-Temperature Activity赤峰真明*1岩国秀治*2國府田由紀*3Masaaki AkamineHideharu IwakuniYuki Koda住田弘祐*4*5重津雅彦髙見明秀*6Hirosuke Sumida Masahiko Shigetsu Akihide Takami要約本研究では,耐熱性と低温活性の両立を狙い,貴金属の凝集抑制に優れた貴金属シングルナノ材料を微粒子化させ,この微粒子を耐熱性の高い酸化物上に分散担持させた新規触媒について検討した。本触媒は,耐久前後にて従来触媒と比較してガス浄化反応に重要な貴金属粒子数が増加していた。更に,エンジン耐久後の実車エミッション試験では,エンジン排気マニホールド直結位置(Hot End)にて,本触媒は従来触媒よりも約30%少ない貴金属使用量で,同等浄化性能を示した。耐久後の酸素吸蔵放出性能についても従来触媒よりも優れており,レアアース(セリア材)削減の可能性が示唆された。SummaryAiming to achieve both thermal stability and low-temperature activity, a study on a new catalystwas pursued. PGM (Precious Group Metals)-single-nano-material which excels in controlling thesintering of the PGM was made into fine particles, which were dispersed on a thermostable oxide.Compared to the current catalyst, the new catalyst showed the increase in number of the PGMparticles after a durability test, which are important for gas purification reactions, and at thevehicle emission test after the dynamometer aging test, it achieved the same level purificationperformance by 30% less amount of the PGM in the closed-coupled layout (Hot End). Oxygenstorage capacity after the durability test was also larger than that of the current catalyst,suggesting the possibility of reduction in the use of rare earth (Ceria material).1.はじめにこれまでガソリンエンジン搭載車に対して,大気のクリーン化とCO2低減を実現するため,三元触媒(TWC)の高性能化,精密エンジン制御システムの構築,エンジンの高効率化など,様々な開発がなされてきた。今後も,グローバルに排出ガス規制及び燃費規制強化が計画されており,新興国成長等による市場拡大,希少資源の枯渇などを考慮すると,ガソリン用TWCに対しては,レアメタル(貴金属)やレアアース(セリア材)といった希少元素の使用量を低減した上で,優れた触媒性能を発揮させることが必須である。そこで,各自動車メーカは,少ない貴金属使用量で,十分な触媒性能を発揮させるため,触媒劣化抑制技術の開発に注力している(1) - (3)。ガソリンエンジンから排出される有害なガスのほとんどは,エンジン冷間時の始動直後に排出されるため,各社とも短時間でTWCの機能が発現する温度に昇温させるために有利なエンジン排気マニホールド直結位置(Hot End)へ触媒を配置している場合が多い。この場合,触媒が800℃を超える高温にさらされる頻度が増加し,長時間走行後に,ガス浄化反応に重要な役割を果たす貴金属が凝集(シンタリング)し,劣化するため触媒性能が大幅に悪化する。従って,直結位置の触媒は,使用過程時の劣化分をあらかじめ考慮して貴金属使用量を増やして対応している。すなわち,直結位置において,少ない貴金属使用量で優れ*1~6技術研究所Technical Research Center―224―