ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30
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マツダ技報 2012 No.30
No.30(2012)マツダ技報た触媒性能を発揮するには,低温からの触媒活性と高い耐熱性を有す触媒材料が必要となる。本稿では,貴金属の凝集抑制に有効な貴金属シングルナノ触媒技術(4),(5)を進化させ,研究を行った結果,直結位置(Hot End)でも少ない貴金属使用量で,耐熱性と低温活性を両立させた触媒技術を開発したので報告する。2.開発コンセプト熱による貴金属の凝集抑制に優れた貴金属シングルナノ触媒技術のポイントは,ガス浄化反応に重要な浄化機能を有す貴金属を酸化物(サポート材)の結晶粒子間に配置し,適度な結合力で固定化することで,浄化性能を保持したまま貴金属の移動を抑制できるというものである。そのため,耐久前後で貴金属の凝集によるサポート材表面の貴金属粒子数の減少はほとんどなく,触媒性能の劣化は少ない。しかし,直結位置で優れた触媒性能を発揮させるためには,耐熱性に加え,更なる低温活性の向上が必要となってくる。そこで,Fig.1のような開発コンセプトを構築した。まず,貴金属シングルナノ材料のサポート材酸化物を微粒子化し,使用した貴金属の多くを材料表面へ高分散化させ,ガス浄化反応に有効な貴金属粒子数を増加させることで,低温からの反応性を向上させる。次に,微粒子化した貴金属シングルナノ触媒サポート材が,表面活性エネルギの増加により,熱より凝集しやすくなっており,そのままだと耐久後には増加した活性点の増加効果が失われる。そこで,耐熱性が高い酸化物(本開発ではアルミナを使用)上に微粒子を担持することで,耐久後もサポート材微粒子同士の距離を離すことが可能な材料構造を得ることを考えた。これにより,サポート材微粒Support particlePGM Single-nano material30~50nm30~50nmheatSecondary aggregatePGMPrevention of PGM particles sinteringexpansion100~200nm 200~500nm500nm overheatgrain refinementinactiveactiveactiveinactiveTertiary aggregate dispersedSupport particles sinteringDeveloped materialAl2O3 heat Al2O3子化により増加した材料表面の排ガスとの反応に有効な貴金属粒子数がサポート材微粒子の凝集により減少することなく維持され,耐久後も優れた低温活性を発揮できる。本開発では,この構造を有した触媒材料を得ることにより耐熱性と低温活性を両立させることを開発の目標とした。3.実験3.1物性解析開発材料は,Rhを含有したCeO2-ZrO2系の貴金属シングルナノ材料(Rh-Ce-Zr-X-O)を用い,微粒子化技術の適用前をCatalyst A,適用後をCatalyst Bとした。微粒子の凝集抑制効果の検証には,Catalyst A mixed with Al2O3,Catalyst B dispersed on Al2O3 (Catalyst A ( B ):Al2O3=1:9)とし,物性解析には粉末を用いた。エージング条件は,初期条件が500℃,2hr,Air,長期使用後条件が,1,000℃,24hr,2%O2 10%H2O/N2 balanceであった。(1)材料構造解析サポート材の比表面積はBET一点法,三次凝集粒子の粒子径はレーザ回折式粒度分布測定装置により評価した。微細構造・結晶構造の解析は,透過型電子顕微鏡(TEM)とX線回折装置(XRD)により評価した。(2)材料表面の貴金属粒子数の定量初期の材料表面の貴金属(Rh)粒子数の測定はX線光電子分光法(XPS),エージング後の材料表面Rh粒子数は,CO吸着法を用いて評価した。いずれも含有他元素との関係,検出性を考慮し,選択した。3.2触媒性能評価(1)酸素放出特性開発材料(粉末)の酸素放出特性は,水素(H2)を還元剤とした昇温還元脱離法(TPR)を用いて評価した。現行量産三元触媒をベースに開発材料を導入した開発三元触媒の酸素吸蔵放出性能は,固定床流通式反応装置を用い,触媒担体前後にリニア酸素センサを配置し,リッチ,リーン切り替え時の応答差から算出した。(2)ラボ触媒性能評価と実車評価ラボにおける三元触媒の浄化性能は固定床流通式反応装置で行った(耐久条件:台上実機エンジン900℃,50hr)。実車エミッション試験は,直列4気筒2.0Lのガソリンエンジンを搭載した車両を用い,EUモード走行時の排出ガス量を測定し,行った。評価触媒は,担体容量:1.0L,担体セル密度:3.5mil/600cpsiであった(耐久条件:台上実機エンジン900℃,100hr)。activePrevention of PGM & support particles sinteringFig.1 Concept of Small Particles Sintering Prevention―225―