ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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概要

マツダ技報 2012 No.30

No.30(2012)マツダ技報あるため,ボデーに貼り付け後の外板塗装時に粉が飛散してゴミ不良の起因になる。また,重い制振シートをキャビン内に前屈姿勢で貼り付ける作業は,エルゴノミクス的な重筋作業であり,塗装工程の生産性の観点からも課題の多い工程である。WightMinimumamountExcessive amount torecover application accuracyExcessive application designwith insufficient optimizationIdealCurrent LSDFig.3 Excessive Application of LSDFig.1 Damping Sheet2.2塗布型制振材制振シートの問題を解決する技術の一つとして,塗布型制振材の適用が拡大しつつある。この材料は,強度の高いアクリル樹脂と,振動を摩擦熱に変換するための無機粒子を主成分とした液体塗料であり,重量だけではなく塗膜強度と熱エネルギへの変換で振動を減衰させることで,Fig.2のように,軽量で高い制振性を持っている。また,この塗料をロボットで自動塗布することで従来の制振シートの生産性の課題を同時に解決できる材料である。Vibration loss factor [-]0.30.250.20.150.10.05Quiet(Good)LSDLight (Good)Dampingsheet上記の課題は,塗布工法と車両設計が相互影響しているため,CX-5の開発では,車両開発の初期段階から開発部門と生産部門が協調し,塗布精度を飛躍的に向上させる塗布工法と,振動シミュレーションを活用した塗布仕様の最適化ソフトを平行して開発して適用することで,軽量化と静粛性を同時に実現する取り組みを行った。3.高精度塗布工法の開発3.1スリット塗布工法の現状と課題一般的なスリット塗布工法は,Fig.4のように,ブースタポンプで塗料を圧送し,ロボットアーム先端にあるスリットノズルから高圧で塗料を吐出させて広げて,ノズルの移動速度で膜厚を制御するシステムである。BoosterpumpRobotPaint hosePaint gunSlit nozzle012345Weight/Area [kg/m2]Fig.2 Weight and Vibration Loss Factor2.3塗布型制振材の課題一般的な塗布工法はスリット塗布工法であるが,膜厚分布の均一性や塗布位置の正確性に課題があり,部位ごとの最低塗布量を確保するために過剰な塗布をしている。一方,塗布仕様は,既存車種での制振シートの仕様のコピーをベースにして,工法の塗布精度のリカバリーを含めた塗布仕様で実車を作成し,音響評価結果を元に最終仕様を決定する結果,Fig.3のように,過剰な塗布による重量増が起こっている。LengthThicknessWidthFig.4 Paint System for Slit Nozzleしかし,実際の塗布では,塗料の広がりパターンは,Fig.5のように不均一であり,かつ,ガン先でのバルブON/Off時に塗料圧力が安定しないために,過剰な塗布が必要である。―235―