ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30
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マツダ技報 2012 No.30
No.30(2012)マツダ技報Width of film (mm)8.07.06.05.04.03.06 8 10 12 14 16 18 20 22Discharge speed (m/s)(2)塗料供給システム流れをとめずに流体を制御する身近な例は,水が出る/出ないという変化を短時間に行う噴水であり,これはポンプから送られてくる水の流路を3方弁で切り替えることで実現している。今回のシステムでも,この原理を応用し,Fig.12に示すような塗料供給システムを開発した。Fig.9 Verification of Discharge Speed以上のように塗膜品質と生産効率やメンテナンス性を考慮した上で各因子を決定し,最適化を行った結果,平滑性においては±10%以下を実現することができた。このようにしてノズル孔単体の吐出条件を決定した上で,ガン1個に対して複数個のノズル孔を設けた構造とした。高粘度流体のため,複数個のノズル孔から吐出される塗料の等量性,直進性が課題である。これに対し,Fig.10のような3Dの流体シミュレーションと基礎実験から,ノズル内部の流れ,吐出後の流れを解析し,ノズルの内部構造を最適化することで,各孔における塗料流量の等量性および吐出後の直進性を確保した。Fig.10 3D-Simulation for Inner Flow Of Nozzle以上のように複数孔から吐出される塗料を,ボデーに衝突させることで,Fig.11のように平滑な塗膜を得られるノズルを開発した。Fig.11 Discharged Flow and Applied Film by New NozzleFig.12 High-Response Paint Supply Diagramノズルから吐出される塗料の量の精度を向上させるためには,頻繁に開閉を繰り返すガン内部の圧力をいかに一定に保つかが重要である。従来のシステムでは,ガンの開閉に同期してポンプの駆動/停止を行うため,圧力は常に変動している。そのうえ,一般に制振材塗料は高粘度であるため,塗料を動かすためには高い動圧が必要になる。ゆえにガン内部の圧力を一定にすることは難しく,結果的に吐出する量がばらついたり,塗着位置がずれたりする。これに対して本システムは,常に一定速度でポンプを駆動させ続け,ガン側と戻り配管側の瞬間的な経路変更をさせることにより,経路全体の動圧を一定に保つ。その上で,戻り配管側の背圧を適切に調整する機構を設け,両経路の圧力損失を等しくすることで,物理的にデッドエンド区間となるガン側ホース内の圧力を保つ。逆にいえば,本システムにおける精度を決定するのは,唯一の変動機会である瞬間的な経路変更の応答性と両経路の圧力損失差であり,これを適切に制御する必要がある。経路変更の応答性は,バルブの開閉速度に依存しており,厳密にはバルブ内のピストンを空気で押し引きする速度である。ゆえに,開閉速度を高めるためには,力を大きくするかピストンの質量を小さくするかのどちらかである。今回は,ガンの内部部品構造とピストン駆動エア圧の両方を最適化することで,数ミリ秒での開閉を可能にした。両経路の圧力損失については,経路の分岐後に,背圧を調整する抵抗を設け,この抵抗を調整することで,ガン側と戻り側の圧力損失を同じにすることができた。以上の結果,微小な時間間隔でガンを開閉させても,塗布開始から終了まで圧力は一定となり,流れを止めないコンセプトの具現化により,圧力変動を極小化することができた。これによりFig.13に示すように,平滑かつ一定幅の塗膜を微小な塗分けで塗布することができた。―237―