ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30
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マツダ技報 2012 No.30
マツダ技報No.30(2012)発進にはトルクコンバータを用いるが,発進直後からロf)デフ撹拌抵抗:デフ室へのオイル流入の抑制とオイックアップ状態にスムーズに移行させることで,従来のAル排出性の向上によりオイル撹拌による抵抗を削減Tと変わらない滑らかな発進を実現した(Fig.9)。g) ATオイル:劣化による粘度低下を抑制するとともに,潤滑機能を高めることで耐焼きつき性を向上させてオイルVehicle accelerationの低粘度化を実現以上の改善により,ユニット全体での機械抵抗を現行5ATと比べ約16%低減し,デュアルクラッチ式と同等以下の抵抗を実現した。Engine speed前述のFull range direct driveの効果と抵抗低減により,Transmission input shaft speed ATユニット全体で現行比4~7%の燃費改善を可能とした。One way clutchtimeFig.9 Acceleration Curve at StartupBearingFig.10は,従来ステップATとSKYACTIV-DRIVEのJC08モード走行中のロックアップ領域を比較したものである。SKYACTIV-DRIVEの採用により,JC08モード走行中のロックアップ領域を約49⇒82%に拡大することが可能となった。Oil pumpSeal-ringDiff-assyFig.11 Name and Structure of Major Parts6.変速応答性とショック改善のブレイクスルーCurrent SKYACTIV - DRIVEFig.10 Comparison of Lockup Range in JC08 Mode5.機能向上による各抵抗要素の効率改善更に,自動変速機の抵抗を司る各抵抗要素について,夫々のシステム機能の理想を追求し基本機能を高めることで,抵抗低減を実現させた。主な改善内容を以下に示す。(Fig.11)a)オイルポンプ:ポンプギヤの理想歯形を追求しポンプ機能を高め効率を改善b)クラッチ:クラッチ摩擦材の溝形状を最適化し排油機能を高めることで抵抗低減c)ベアリング:ベアリングの耐久性能を高めることでボールベアリングの採用を実現d)ワンウェイクラッチ:ラチェット式を採用し相対回転部のオイル撹拌を極限まで低減e)シールリング:最小クラッチ数で6速化を実現するスケルトンを選定してシール箇所を最小化するとともに,サイドフォースを極限まで低減するシールリング形状を採用変速応答性とショックを高次元で両立させるためには,ロックアップクラッチや変速クラッチの作動油圧をいかに精度良く,応答良く制御できるかがポイントとなる。この基本機能を飛躍的に高めるためのブレイクスルーが"Mechatronics module"である。6.1 Mechatronics moduleによる高応答・高精度の実現ATの油圧精度は,多数の機械部品と電子部品のバラツキが影響する。そこで,これまで個別管理していた油圧回路と電子部品を一体化し,出力される油圧特性を制御コンピュータに記録することで,クラッチ油圧のバラツキを従来比1/5に抑制することが可能となった。同時に各種センサ類も一体化することで,部品点数の削減と信頼性の向上を図った(Fig.12)。また,油圧応答速度を高めるために,ダイレクトリニアソレノイドを採用するとともに,電流応答遅れ,油路抵抗,変速用クラッチ剛性などの解析を進め,油圧回路一本一本に至るまで理想を追求することで,高速で安定した制御システムを構築した。―22―