ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30
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マツダ技報 2012 No.30
マツダ技報No.30(2012)5.3高効率リンク機構Target変速機構を構成するロッド支持部にスライドボールベアMid MTLarge MTリングや低摩擦タイプのブッシュを採用したことに加え,シフトフォークを作動させるレバーをインボリュート形状とし,作動中の摩擦抵抗を低減した。また,作動中のスリーブの傾きによるハブとの摺動抵抗を低減するため,シフトフォーク周辺のレバーやロッドを含むシステムとして最適化し,シフトフォークの両腕を等剛性化した。Fig.5に操作系部品の構造を示す。コントロールロッドが上下動するセレクト操作に対してFig.3 Shift Characteristicは,1速・2速のセレクト位置を上方へ設置し,シフトアップ時にロッド上部品の自重で下げる構造とした。また,シフト操作のショートストローク化と操作力低減の相反する目標両立のため,以下を目指し開発した。シフト用ディテントがセレクト操作時に摺動しない構造とすることで,操作時の抵抗を低減した。・必要な仕事量を減らす(被同期側イナーシャ低減)・大きな増幅比で操作力を伝える(レバー比拡大)・最大の効率で操作力を伝える(高効率システム)・2段モーション性能向上(阻害要因の排除)Control rodShift fork (Rev.)5.1被同期側イナーシャ低減変速中の仕事量を減らすため,クラッチディスクとシンクロ間にあるギヤトレイン部品のイナーシャ低減を行った。3軸構造の大型MTでは,構造選定時にシンクロとギヤの最適配置を行い,5速・6速用シンクロをインプット軸上に配置することにより,クラッチディスクを含む被同期イナーシャを約12%低減した。5.2レバー比拡大Shift fork (1/2)シフトノブのショートストローク化と,ノブからシンクロに操作力を伝えるレバー比拡大を両立するため,MT内部のスリーブストローク短縮を行った。シンクロスプラインの小モジュール化によりスリーブとギヤスプラインの噛合い長さを縮小するとともに,シンクロ同期時の熱収支解析を行い,シンクロとギヤの熱容量最適化によりシンクロ摩耗量を低減することで,シンクロかShift fork (5/6)Shift fork (3/4)Fig.5 Shift Mechanismらギヤスプラインの距離を縮小した。これらにより,スリーブストロークを従来型比で約5.4 2段モーション性能向上15%短縮した。Fig.4に熱収支解析モデル例を示す。変速操作中のスリーブとギヤスプラインの噛合い時に発生する,ゴツゴツとしたフィーリングの2段モーションは,シフトフィールを損ねる要因となる。この現象は,シンクロ同期時に蓄積されたねじりエネルギが同期終了後に解放され,噛合い時にギヤスプラインとスリーブが相対回転によって衝突することにより発生する。この対策として,変速操作中の関連部品について挙動解析と高精度の回転変動測定を実施し,ギヤスプラインに対するスリーブの進入角度を明確化するとともに,同期後のスリーブ挙動を可視化することでギヤスプラインのチャンファ形状を最適化した。これにより,常用シフト荷重域での2段モーション発生Fig.4 CAE Modelを防止し,シフトフィーリングの向上を図った。―26―