ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

No.30(2012)マツダ技報6.小型化・軽量化8.1システム最適設計ギヤノイズ開発では,ギヤ設計や支持構造の最適化によMTの全長は,軸上に並ぶギヤの歯幅と同期装置スペーるMTユニットの基本的な振動低減を行った上で,Fig.6ス,支持ベアリング寸法等の要素によって構成される。の振動伝達における特性に着目し,それぞれの伝達経路にこのため,構造選定時に全長とともに伝達効率や被同期対して最適となるように振動伝達の周波数特性をチューニイナーシャも考慮して各要素を最適配置した上で,各要素ングした。の小型化を行った。これにより,車体側感度の高い周波数域とユニット振動大型MTでは,共用ギヤの組み合わせ,リバースの配置レベルが高い周波数域を離すことで,車両目標を達成し,などが異なる多軸ギヤスケルトンを比較し,ユニット全長トランスミッションケースの剛性チューニングで対策を行および伝達効率から,現在の構造を選定した。った場合に比べ,振動低減に必要な重量を約50%に低減で次に中心間距離の設定は,外観サイズ,重量,ギヤ比のきた。設定範囲を考慮し,シミュレーションにより約1万通りの中から最適な中心間距離バランスを決定した。ポテンシャルの高い基本構造と中心距離を選定した上で,各構成部品の軽量化を行うことにより,目標のユニット全長と重量を達成した。アルミダイカストのトランスミッションケースでは,軽量構造を実現するために,ゼロベースで低周波から高周波振動の順に構造体を設計し,必要最小限の補強リブを設定した。また,生産技術部門と共同で,一般肉厚を従来型比で約30%低減に取り組み,形状の最適化と合わせて約Fig.6 Gear Noise System Model20%の軽量化を実現した。7.伝達効率向上8.2構造最適化CAEの適用上記のシステム設計を実現するにあたり,NVH性能以ギヤトレインの構造選定において,摩擦抵抗を考慮した外も含めた複雑なシステムを成立させる必要があった。そ構造選定とギヤ配置を行った上で,MTの伝達損失の多くこで,車両システムまで含めたCAEモデルと,最適化ソを占める,オイル撹拌抵抗とベアリングをはじめとする回フトの適用を実施した。転部分の摩擦抵抗を低減し,ヨーロッパのモード燃費で約これにより,より精度の高い解析結果と効果的な振動低1%に相当する伝達効率を向上した。減形状が実現できている。オイル撹拌抵抗では,低粘度オイルを新たに開発するとともに,各部の潤滑状態をシミュレーションと樹脂製の透9.おわりに明ケースを用いた可視化を併用して最適化することにより,SKYACTIV-MTは,相反する課題をブレークスルーすオイルレベルを低減した。また,オイルパス構造を工夫し,る技術開発に取り組み,小型・軽量・高効率で「優れた環走行状態では積極的にオイルパス上にオイルを蓄積し,デ境・安全性能」を,シフトフィールの更なる進化で「走るフの攪拌抵抗を低減した。歓び」を高次元で両立しサポートできるユニットに仕上が摩擦抵抗では,ギヤ諸元や中心距離の最適化により入力った。を低減し,低抵抗タイプのベアリングを採用した。是非「意のままに操作でき,小気味よいシフトフィー8.NVH性能(静粛性)の向上ル」を体感していただきたい。従来の開発では,ギヤノイズをはじめとするNVH性能に対し,起振源であるMTユニットでの振動低減に重点が置かれていたが,振動低減に対する必要重量の効率が悪く,弊害が発生することも多かった。そこで,SKYACTIV-MTでは車両全体で性能をコントロールし,システムとして設計することにより,軽量化とNVH性能を両立させている。■著者■石井護吉倉佑髙田雅史―27―