ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

ページ
42/264

このページは マツダ技報 2012 No.30 の電子ブックに掲載されている42ページの概要です。
10秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

マツダ技報 2012 No.30

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

マツダ技報 2012 No.30

No.30(2012)マツダ技報これに加え,現行プレマシーから注力してきた,「走る・曲がる・止まる」に関わる他のダイナミクスフィールとの「統一感」の実現をSKYACTIV-シャシーの進化として取組んだ。ドライバの操作とクルマがシンクロしたような,予測しやすいリニアなフィードバックを得られることを狙った。加えて,他のダイナミクスフィールとの調和により「一体感を持ってクルマを操る歓び」の実現を目指した。これらのダイナミクス性能を向上しながら,お客様に提供する商品として様々な要件を満足させるべくサスペンション・ステアリングシステムの開発を行った。CX-5は新世代クロスオーバSUVとして悪路走破性を担保しながら「乗用車に近い運転感覚」を併せ持った競合車にない魅力としてオンロード性能に注力した。新型アテンザでは,現行モデルの「軽快でスポーティな走り」をいっそう進化させる。フラッグシップとしてスムーズなストローク,インパクト入力を抑えた質感の高い乗心地と,予見性のある挙動で欧州競合車レベルまで安定性を向上させつつ,ドライバの期待どおりの挙動となるよう操舵フィール,初期応答,ロール姿勢を造りこむことで欧州プレミアム車同等以上の「意のままに操る楽しさを実感する真のZoom-Zoom」の実現を目指した。ンバコンプライアンスを適値に設定,ロールステア変化を調整し,コーナーリングパワーに占めるサスペンションジオメトリ,コンプライアンス分の割合を増加させた。CX-5と新型アテンザはコンプライアンスとロールステア変化量で必要なコーナーリングパワーを調整した。CX-5はSUVとしての穏やかな動きを持ちながら乗用車に近い運転感覚を得るのに必要十分なコーナーリングパワーを設定し,新型アテンザではより高速までをカバーしながらスポーティセダンにふさわしい軽快な応答を実現するため大幅に増加させた(Fig.3)。Fig.1 Front Suspension and Steering3.達成手段3.1構造と特徴SKYACTIV-シャシーでは,性能と軽量化の高次元のバランスを狙い,フロントにマクファーソンストラット式サスペンションを,リヤにE型マルチリンク式サスペンションを新開発した(Fig.1,2)。CX-5と新型アテンザは車幅,車高やタイヤサイズ等の車両諸元の違いに適合させながら,共通の基本構造を実現した。ステアリングは軽量かつ燃費性能の高いコラム式電動パワーステアリングを採用,ハードとソフト面に工夫を施しシステムを新開発した。ハード面ではブラシレスモータ採用によりイナーシャ感およびフリクション感を低減,また,ソフト面は従来制御では操舵トルクおよび車速情報でのアシスト量調整だったのに対し,新制御では絶対舵角およびハンドル操舵方向を情報に加えより緻密でフレキシビリティーの高いアシスト量調整を可能にした。3.2 (A)中低速域の軽快感と高速安定性の両立SKYACTIV-シャシーでは特に後輪のコーナーリングパワーを増加させ安定性を高めた上で,ステアリングギヤレシオを高速化しヨーレイトゲインを高め,パワーステアリングのアシスト量を最適化することで,中低速の軽快感と高速安定性を両立させた。後輪のコーナーリングパワーを増加させるため,サスペンションのリンク配置とブッシュばね定数を最適化した。横力コンプライアンスステアをトーイン特性としつつキャFig.2 Rear SuspensionFig.3 Rear Cornering Power Comparison―33―