ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

No.30(2012)マツダ技報4.1人馬一体感と安心感の達成Fig.5に車速によるヨーレイトゲインの変化を示す。後輪のコーナーリングパワーを増加させ,ステアリングギヤレシオを高速化することで,ヨーレイトゲインを中低速では高く,高速域では低くすることを目指した。CX-5,新型アテンザとも現行と比較して,ピークはより低速側に移動し,中低速ではヨーレイトゲインを高く軽快に,高速ではゲインを低く安定感を得ることを達成した。その上で,CX-5はSUVとしての一体感を得るのに十分高いヨーレイトゲインを設定し,新型アテンザは,より高いゲインを持たせることで,スポーティセダンに相応しい軽快感を実現した。欧州現地で200kphの高速域でも安心感が大幅に向上していることを確認できた。設定を行った。CX-5では重心の高いSUVで軽快感と安心感を両立させるため,特にロールのモードの造りこみに注力した。Fig.7はブレーキング~ターンイン~定常旋回の一連のシーンの中で,ターンインの瞬間の四輪それぞれの上下変位,つまりロールモードを示したものである。CX-5のロールはダイヤゴナルモードが強く,前輪の旋回外輪はしっかり沈みこみ,内輪は浮きが小さく抑えられ不安感なく軽快と感じられる,また,定常に至る過渡的な動きの変化を穏やかにして,ドライバが感じる車両の応答性を弱アンダーでリニアな特性に合わせ込んだ。新型アテンザでは,更に応答遅れを短縮しながら,コーナリングではステアリングを切った分だけのリニアなフィードバックから感じる一体感のある操舵フィーリングとコントロール性,フロントの内外輪がしっかりと路面をつかんでカーブを曲がりきる,意のままの運転感覚を実現した。Fig.5 Improvement of Yaw Rate GainFig.6 Steering Torque-Yaw Rate Linearity統一感の実現については,操舵力と車両応答の関係を見直した。Fig.6に操舵力と車両応答の一例としてヨーレイトの関係を示す。ヨーレイト,横G応答やロールなどの動きがリニアでスムーズにつながるように造りこむことに注力した。これに加え,パワーステアリングのアシスト特性を小舵角付近では操舵力を軽めにして明確で軽快に,舵角が進むとアシストを小さく重めでしっかりした感じを出すことで,車両応答と手応えのリニアな関係を実現した。また,切り込み時にリニアと感じられる特性の実現と,戻し側でのコントロール性を向上させる適切なヒステリシスのFig.7 Roll Mode Comparison4.2快適性の達成快適性では乗心地とロードノイズ性能の向上を実現した。突起乗り越し時のインパクトショック入力のレベルをFig.8に示す。大径タイヤで地上高を確保したSUVは後退軌跡が取りやすくインパクト入力は低く抑えやすいがCX-5は競合車と比べても低いレベルを達成した。新型アテンザも軽快感を確保しながら欧州プレミアム以下のショックレベルに抑えた。また,荒れた路面でのビリビリ,ゴツゴツとした振動レベルも低減し,入力を抑えスッキリとして減衰感のある質感の高い乗心地を実現した。Fig.9は粗粒路ロードノイズの音圧レベルを示すが,前述のようなダイナミクス性能と軽量化で進化を実現しながら,現行車からの低減を達成した。新型アテンザは更に欧州プレミアム車並みの上質さを出すため一段低いレベルを実現した。まとめとしてSKYACTIV-シャシーで目指した「人馬一体のドライビングプレジャー」の向上,快適性や安心感改善による「走りの質」の向上についての達成状況をFig.10,11に示す。―35―