ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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概要

マツダ技報 2012 No.30

No.30(2012)マツダ技報Fig.10には,EDLC容量の温度依存性を示す。放電容量は,-30から70℃の間で容量値の変化は小さいが,充電容量は,温度が低くなると共に小さくなった。これは,100Aの測定電流値に対して,イオンの活性炭細孔内部への拡散が追いつかないためと考える。しかし,冷間時での容量低下率は小さく,冷間時での回生量の低下は問題ないレベルであると考える。Fig.11には,EDLC内部抵抗の温度依存性を示す。これまでのモジュール内部抵抗の半減以下を実現した。低温時の内部抵抗の増加率は,3倍(-30℃と20℃比較)以下であり,LiBやNi-MHと比較しても小さく,低温時の受入れ性の悪化を抑えることが可能である。Potential / V30252015105000.20.40.6Capacity / Ah15A50A100A200AFig.9 Current Dependency of Capacity0.8し,使用範囲内であれば劣化予測が可能であることを確認した。Fig.13より,切片部と傾き部に大別でき,切片部は初期の劣化に傾き部は主劣化と表現できる。初期劣化は,製造過程で活性炭の表面に吸着した官能基や水分及び不純物と電解液との反応が主であり,EDLCに特有の劣化と推定される。主劣化は,電解液の分解により電極表面に堆積物やガスが生じ,電極面積の減少による容量の低下を引き起こし,イオン拡散性が低下して内部抵抗の増加を導くメカニズムと推定している。Capacity maintenance ratio(%)100908070600500100015002000Time[hour]Fig.12 Deterioration of Cycle Test (at 70℃ave.70A10012-25V)Capacity [F]1201101009080706050ChargeDischarge-40 -20 0 20 40 60 80Temperature [℃]Capacity maintenance ratio(%)908070600 10 20 30 40 50Time[√h]Fig10. Temperature Dependency of Capacity (at 100A)Fig.13 Deterioration of Cycle Test (√t as the abscissa)Internal resistance [mΩ]4035302520151050-40 -20 0 20 40 60 80Temperature [℃]Fig.11 Temperature Dependency of Resistance (at 100A)5.2劣化特性Fig.12にサイクル試験結果を示す。サイクル時間と共に容量は一様に低下している。Fig.13には,横軸を√tにした時のサイクル劣化試験結果を示す。横軸√tに対して直線的に低下し, LiBと同様に√t則に従うことを明らかに次に,主劣化に及ぼす劣化因子の調査を行った。Fig.14~16には,制御因子である,温度・電圧・電流による影響度を調査した結果を示す。影響度に関しては,温度>電圧>電流の順であることを見出した。特に,電流に関しては,10~200Aの電流範囲で1.6%の変化率であり,非常に小さいことを明らかにした。これは,EDLCが物理反応原理のため,高レート対応可能なことから,充放電時の副反応が少ないためと推定される。以上のことから,制御因子として温度と電圧を制御できれば劣化をコントロールできる可能性を示した。今回開発したEDLCは,高温での性能保証を70℃まで向上させたが,エンジンルーム内への搭載のためにはまだ不十分であった。そこで,70℃以上から,段階的に上限電圧を下げていき,85℃以上では16V以下で制御する劣化コントロールを組み合わせることで,10年24万kmの保障を実現することが可能となった。―47―