ブックタイトルマツダ技報　2012 No.30

概要

マツダ技報　2012 No.30

No.30(2012)マツダ技報特集:SKYACTIV TECHNOLOGY10“i-ELOOP”制御技術の開発Development of Control Technology for“i-ELOOP”小谷和也*1水落洋行*2久米章友*3湯原将光*4Kazuya KotaniHiroyuki MizuochiAkitomo KumeMasamitsu Yuhara高木宏*5中上信宏*6*7春名亮二田村和寛*8Hiroshi Takaki Nobuhiro Nakagami Ryoji Haruna Kazuhiro Tamura要約マツダは,技術開発の長期ビジョンである「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」に基づき,「ビルディングブロック戦略」を推進している。車の基本となるエンジンの効率向上,車両の軽量化などを実施し,段階的に電気デバイス技術を組み合わせることで,CO 2の総排出量を削減していく。そのStep2として,減速時の運動エネルギを回生し,車の使用電力として再利用する減速エネルギ回生技術であるi-ELOOPを導入する。i-ELOOPでは,新たにキャパシタ(EDLC:Electric Double Layer Capacitor),可変電圧オルタネータを採用することで,回生能力を向上させた。更に新たな制御技術を採用することで,より多くの減速エネルギを回生することが可能となった。SummaryBased on the technology development long-term vision,“Sustainable Zoom-Zoom”, Mazda hasbeen promoting the“Building Block Strategy”. We thoroughly improve the base technologies forPowertrain efficiency, vehicle weight reduction while combining them with electric devicestechnology in a phased manner so as to reduce CO2 emission. In the second step of this approach,we have developed a new regenerative braking system“i-ELOOP”that recovers energy generatedby deceleration and reuses it as electric energy necessary for vehicle. i-ELOOP, because of a newcapacitor (EDLC: Electric Double Layer Capacitor) and variable voltage alternator, improves theregenerative capability as the vehicle decelerates. A new control technology is also employed torecover braking energy in a stable manner so as to minimize fuel consumption for power generation.1.はじめにマツダは,技術開発の長期ビジョンである「サステイナブル"Zoom-Zoom"宣言」に基づき,「ビルディングブロック戦略」を推進している。車の基本となるエンジンの効率向上,車両の軽量化などを実施し,段階的に電気デバイス技術を組み合わせることで,CO2の総排出量を削減していく。「ビルディングブロック戦略」に基づき,2009年から停車時にエンジンを停止させ,燃料消費を削減するi-stopを導入した。今回,減速時の運動エネルギ(以下,減速エネルギ)を回生し,車の使用電力として利用するi-ELOOPを導入する。本稿では,i-ELOOPにおける制御技術について紹介する。2. i-ELOOPのねらい従来,市街地を走行する際,エンジン出力の約10%は,車の使用電力を供給するための発電負荷として利用している。安全装備や環境対策技術等の電装品追加に伴い,車の使用電力は増え発電負荷は増加傾向にある。一方,燃費改善のため,車両の軽量化,空気抵抗の低減等が進むことで走行負荷は減少傾向にある。つまり,エンジン出力に占める発電負荷の比率は更に高まる傾向にある(Fig.1)。そこでi-ELOOPは回生能力を向上させ,多くの減速エネルギを回生し発電負荷をなくすことを目指した。*1~8パワートレインシステム開発部Powertrain System Development Dept.―51―