ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

マツダ技報No.30(2012)Percentage of Engine Output(%)10050GeneratorloadRunningloadCurrentIncrease inelectrical loadReduction ofvehicle weight,air resistance,rolling resistance,etc.Fig.1 Rate of Generator LoadGeneratorloadRunningloadFuture多くの減速エネルギを回生するため,発電装置は最大電圧25V,最大電流200Aの発電性能を持つ可変電圧オルタネータを採用した。減速の限られた時間で多くのエネルギを蓄えるため,蓄電装置は鉛バッテリの10倍以上の充電受入性能を持つキャパシタを採用した。キャパシタに蓄えたエネルギは,DC-DCコンバータで電装品に適した電圧に変換,供給する(Fig.2)。【Variable Voltage 12‐25V】RegenerationAlternatorKinetic EnergyEDLCDC‐DCconvertorBattery【Conventional 12V】Fig.2 Schematic View of i-ELOOPElectricalEquipmentsi-ELOOPは可変電圧オルタネータとキャパシタを採用することで,従来比約3倍の減速エネルギを回生する能力を得た。しかし,回生する際は減速度がドライバに違和感を与えないよう発電トルクを制限するため,発電能力を最大限利用できない可能性がある。また,減速時にキャパシタの充電状態(以下,SOC:State Of Charge)が満杯だと減速エネルギを充電できない可能性がある。これらの懸念を解決するためには,違和感を与えない最大限の発電トルクを明確にして,精度良く発電する必要がある。また,次の減速で得られる減速エネルギを推定し,キャパシタSOCを減速エネルギが充電できる状態にする必要がある。よって,i-ELOOPは新たな制御技術として,可変電圧オルタネータ制御とデュアルストレージ制御を開発した。更に,加減速が少ない走行シーンでも発電による燃料消費を最小に抑える高効率発電制御も採用している。3. i-ELOOP制御技術3.1可変電圧オルタネータ制御可変電圧オルタネータは従来の約3倍の発電能力を有しており,多くの減速エネルギを回生する能力がある。一方,減速時の発電量が多いと発電トルクが原因で,ドライバが期待している減速度を超えてしまい違和感を与えてしまう。そこで,可変電圧オルタネータ制御では,ドライバに違和感を与えない範囲で回生できる最大発電トルク(以下,最大回生トルク)を演算する。そして,最大回生トルクを精度良く実現することで,可変電圧オルタネータの発電能力を最大限利用する。ドライバの操作から違和感を与えない減速度(以下,許容減速度)は,アクセルペダルとブレーキペダルの操作から推定する。アクセルペダルを離した際は,車速の低下に応じて許容減速度をリニアに変化させる(Fig.3)。ブレーキペダルを操作した際は,油圧ブレーキの制動力に応じて許容減速度を変化させる(Fig.4)。最大回生トルクは,走行抵抗,パワートレイン抵抗から算出した減速度と許容減速度の差から逐次演算する。以上から,ドライバに違和感を与えることなく回生できる発電トルクの最大値を演算可能となった。Deceleration (m/S 2 )Deceleration (m/S 2 )100km/hRegenerative BrakeRunning resistance&Powertrain resistanceRequested DecelerationReleasing on AcceleratorFig.3 Acceptable DecelerationRequested DecelerationApplying the BrakeRegenerativeBrakeHydraulic BrakeRunning resistance & Powertrain resistancePedal Force of Braking (N)Fig.4 Acceptable Deceleration with Braking0km/h最大回生トルクで減速エネルギを回生するためには,許容減速度を超えないよう目標発電トルクを精度良く実現する必要がある。これまでのオルタネータ制御は,発電による電圧変動が電装品の動作に影響しないように電圧制御を行っていた。回生の際は目標発電トルクとなる目標電圧を推定して発電するため,実発電トルクは推定誤差の影響を受けた。i-ELOOPは電装品の電力供給をDC-DCコンバータで行うため,発電トルクを目標として制御する構造に―52―