ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30
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マツダ技報 2012 No.30
特集:SKYACTIV TECHNOLOGY11マツダ技報No.30(2012)“i-ELOOP”制御系開発における机上環境の進化Evolution of the Virtual Environment in theDevelopment of“i-ELOOP”Control System柴田敏治*1小森賢*2彌生啓介*3Toshiharu ShibataSatoshi KomoriKeisuke Yayoi上野隆司*4*5小谷和也亀井裕介*6Takashi Ueno Kazuya Kotani Yusuke Kamei要約新型アテンザでは,マツダ独自の減速エネルギ回生技術である「i-ELOOP」を搭載した。これは社会からの要求の高い燃費向上技術であるが,この要求にタイムリーに応えるためには,より短期間での開発が必要であった。そこでモデルベース開発を全面的に採用し,各段階で活用可能な仮想開発環境を構築した。これによって,実車試作までに机上でシステム検証を終え,更に適合までも机上にて実施することができた。SummaryAll-new ATENZA is equipped with Mazda-unique regenerative braking system,“i-ELOOP.”Thefuel-saving technology was much demanded from society. To respond to the demand in a timelymanner, a model-based development approach was applied overall, in which virtual developmentenvironments available in each process were established. As a result, calibration works as well assystem verifications were completed with the computer before a prototype vehicle was actually built.1.はじめに環境意識の高まりから燃費向上への期待はますます大きくなってきている。マツダでは,この期待に応えるために,まず優先的に内燃機関などの「ベース技術」を改良した上で,段階的に電気デバイスを追加していく”ビルディングブロック戦略”を掲げて技術開発を行っている(1) (Fig.1)。Fig.1 Building Block Strategy今回,新型アテンザでは,ビルディングブロック構想のStep-2として,減速エネルギ回生システムである「i-ELOOP」を搭載した。「i-ELOOP」によって,減速エネルギを電力として効率良く回生・蓄電・活用することができ,大幅なコストアップなく約10%の実用燃費低減効果が期待できる。しかしながら,この機能を実現するためには,従来以上に複雑化した電気回路を高頻度かつ緻密に切り替えながら,発電トルクや電流の大きさおよびエネルギの流れを適切に制御する必要がある。そこで,この新技術を開発するにあたり,効率的な設計・検証を行う手法であるモデルベース開発(MBD)を全面的に採用した。これにより開発初期から実車検証に至るまでの各段階で設計・検証のサイクルを充実させ,試作車の完成前に,机上でシステム検証や適合まで実施できた。本稿では,「i-ELOOP」の開発で活用した仮想開発環境について紹介する。2.「i-ELOOP」について「i-ELOOP」とは,乗用車として世界で初めて蓄電器にキャパシタを用いることで,減速時のエネルギ蓄積量の増加と,充放電速度を向上させたマツダ独自の減速エネルギ回生システムである。このシステムは,主要デバイスと*1~6パワートレインシステム開発部*2,3△▽部Powertrain System Development Dept.*―56―