ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30
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マツダ技報 2012 No.30
No.30(2012)マツダ技報1.はじめに新型アテンザの商品開発では,全面導入するSKYACTIVTECHNOLOGYの高い運動性能を最大限に引き出すことに主眼を置いた。具体的には,極低速域から超高速域まで常にヒトとクルマとの高い一体感があり,意のままに軽快に操る感覚が体感できる,新次元の「走る歓び」を目指した。更には,優れたコントロール性と自然なフィーリングを合わせ持つステアリング,アクセル,ブレーキ,エンジンサウンドなどの造り込みに注力した。また,「魂動? Soul of Motion」デザインによるエクステリアとインテリア,パッケージ,クラフトマンシップなどの領域でも,「意のままに軽快に操る歓び」を追求した。そして,見るだけで走りへの期待が高まるデザイン,「意のままに軽快に操る歓び」が更に深まる上質な造り込み,運転の楽しさや快適性をサポートする様々な創意工夫により,ドライビングシーンに限らず,走り出す前から始まり,走り終えた後も余韻が続く,新次元の「走る歓び」を体現することができた。更に,「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」の一翼である環境安全性能では,環境性能に貢献するマツダ独自の減速エネルギ回生システム「i-ELOOP(アイ・イーループ)」を搭載するほか,「お客様が安全に運転できる状態を最大限に高めることが,安全の基本」というマツダ独自の安全思想に立って,世界基準に基づいた様々な先進アクティブセーフティ技術を採用している。SKYACTIV TECHNOLOGYと「魂動」デザインの本質を最大限に引き出すことによって新次元の「走る歓び」を創出し,マツダのブランドポジションの革新に挑む新型アテンザが,気概を持って毎日を生きるお客様のベストパートナーとなることを願ってやまない。2.商品コンセプト新型アテンザの商品コンセプトを構築するに当たり,従来の市場情報から得られる定量データに基づいたコンセプト創造活動から,特定の個人に絞った定性データに基づいたコンセプト創造活動へと変革を行った。つまり,市場で際立つ個性を持った「マツダならではの独自の価値」を具備した商品を世に送り出すために,お客様を集合体として捉えるのではなく,特定の個人に焦点を当てることとした。具体的には,ブランドプロポジションという手法を用い,新型アテンザが存在していないことによるお客様の現在の状態と,新型アテンザが存在していることでのお客様の理想状態を明らかにした。そして,その差こそが新型アテンザおよびマツダの存在価値であり,お客様が理想状態に達する根拠になるとの考え方に基づくものである。そして,任意に選定したお客様の日常行動について徹底的な追跡調査を行った。その結果,新型アテンザのターゲットカスタマーは,社会的チャレンジャーであり,周囲に知的かつエネルギッシュな人格を伝えたいとの期待を有していることが分かった。こういったお客様の価値観を踏まえ,新型アテンザが提供するべき最重要価値は,「日々挑戦し続けるお客様を強力に後押しする存在」であるべきと結論付けた。つまり,お客様にとっての存在意義そのものを最も重要な価値として位置づけた。お客様を後押しする新型アテンザの価値とは,クルマに触れるたびに自身が前へ進むエネルギを充電できることである。すなわち,気持ちが落ち込んでいるときにも自信を取り戻させてくれ,気持ちを高揚させて明日への活力を新たに与えてくれるクルマであるということである。これらコンセプト創造活動の結果から,新型アテンザの商品コンセプトは,『人生を豊かにするモチベータ』とした。ドライバに活力をもたらし,ドライバにとってクルマが掛け替えのない存在に成ることを目指し,主要な価値として,1.対峙する度,思わず心が凛とする存在感2.ヒトとクルマの一体化により,胸のすく爽快感が味わえる運動性能3.どこにでも行ける期待感を醸成する環境安全性能を提供すべきとの結論に至った。次に,これら3つの主要な価値を実現するための商品開発における注力ポイントを述べる。3.商品特徴3.1対峙する度,思わず心が凛とする存在感社会的チャレンジャーであるターゲットカスタマーに対して,新型アテンザは「自分のスタイルを貫き,気持ちを奮い立たせる存在」でありたい。新型アテンザのデザインは,この想いを実現すべく,群れの中にいても異彩を放ち,心を凛とさせるエクステリアデザインを目指した。そして,乗り込んだ瞬間に訪れる静寂,操作の度に感じる節度感,クルマとの一つ一つの対話によってドライバ自身の本来のペースを取り戻すことのできるインテリアデザインを目指した。更に,新型アテンザではマツダの「魂動(KODO)」デザインに対する挑戦をフルに採用している。(1)デザインコンセプト新たな挑戦「魂動」では,動きを表現する立体造形の進化を追求し,これをサポートする骨格,質感革新,ブランド表現の進化に注力した。動きの表現には色々な解釈があるが,魂を持った動きは,強く美しく,感情的であると同時に,理論があって無駄がない。このような造形を実現するのが,「魂動」デザインに対するマツダの思いである。―61―