ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

マツダ技報No.28(2010)Fig.10 Steering Feel(2)エンジンサウンド新型アテンザでは,定常走行シーンと加速走行シーンなどのそれぞれで,ドライバの操作に呼応した心地よいエンジンサウンドを奏でることを目指した。具体的には,車両構造の最適化により静粛性を大幅に向上させた上で,定常走行シーンでは澄んだ音を中心としたハーモニック成分を強調し,加速走行シーンでは変動感のある鼓動成分を強調したエンジンサウンドを奏でることで,ヒトとクルマの走行状態に対応した心地よいエンジンサウンドを提供している(Fig.11)。心地良い音色を達成するための具体的な対応として,SKYACTIV TECHNOLOGYを採用したガソリンエンジンとディーゼルエンジンの持つ音のメカニズムを徹底的に分析し,エキゾーストマニホールドのインシュレータ構造の2重化への変更や,インテークマニホールドへの遮音材の追加を実施している。更に,エンジンマウント振動を活用し,ハーモニック感と鼓動感を両立したエンジンサウンドを実現するなど,従来の音量にこだわったエンジンサウンド開発から,音質にこだわったエンジンサウンド開発へと変革した。加えて,プレミアムオーディオ装着車には,強い加速シーンでの鼓動音をオーディオのスピーカから発生させるActiveEngine Sound(アクティブエンジンサウンド)を採用することで,ヒトとクルマの一体化を更に高めるエンジンサウンドとしている。Fig.11 Engine RPM vs. Sound During Acceleration(3)ドライビングインターフェース:操作機器/視界「ヒトとクルマの一体化」はマツダDNAの「走る歓び」の原点であり,運転への集中を促すドライビングポジションの提供と適正な機器配置により,正確な認知と操作を実現した。具体的には,人間工学に基づき,スムーズで安定した操作を可能にするオルガン式アクセルペダル,「しっかり握れる」と「軽く握れる」を両立したステアリングホイール,シフト操作時の圧力分布の均一化にこだわったシフトレバーの採用などにより実現している。また,基本性能としてのドライバの直接視界確保は普遍的な条件である。つまり,見るべきところが確実に見え,無理やストレスのない運転を可能とする視界を提供している。新型アテンザでは,操作系・視認性機器の形状や配置の最適化,的確でスムーズなコーナリングをサポートする広く見通しの良い視界などによって,違和感なく「意のままに軽快に操ることでの走る歓び」を体感できる運転環境を実現した。3.3どこにでも行ける期待感を醸成する環境安全性能新型アテンザの商品開発において,どんなにデザインが優れ,どんなにダイナミクス性能が優れているクルマでも,環境や安全に不安を抱えた状態では,「意のままに軽快に操ることでの走る歓び」を提供できないと考えている。そこで,ダイナミクス性能のみでなく,燃費性能・空力性能・軽量化などの環境技術や,マツダプロアクティブセーフティの考え方に基づいた安全技術にも注力して商品開発を行った。(1)燃費性能エンジンは,2.0L/2.5Lのガソリンエンジン(GE),2.2Lのクリーンディーゼルエンジン(DE)を用意している。新型アテンザから新規導入となる2.5L GEは,2.5L競合群の中において上位レベルのMax Torqueを有しながら,高速走行時にはハイブリッド車と同等の燃費性能を実現している。2.2L DEは,V6を遥かに上回るMax Torqueを有しながら,ハイブリッド車や他社のDE車を凌駕する高速燃費性能を実現している。更に,新型アテンザは減速時のエネルギ回生システムとして,i-ELOOPを採用している。i-ELOOPは,熱エネルギとして捨てられていた運動エネルギを回生するシステムであり,走行中にアクセルをオフした瞬間から,最大25Vの電圧でオルタネータによって発電し,自動車用に新開発したキャパシタへ瞬時に蓄えられる。キャパシタに一時的に蓄えられた電力は,DC-DCコンバータで12Vに降圧し,直接エアコンやオーディオなどの電装品の電力として供給するほか,必要に応じてバッテリの充電も行う。これにより,電装品を作動させるための電力の発電に消費していた燃料の使用を抑制することができる。結果として,頻繁に加減速を繰り返す実用走行時には,特に燃費改善効果が見込める。―64―