ブックタイトルマツダ技報　2012 No.30

概要

マツダ技報　2012 No.30

マツダ技報No.30(2012)2.2パッケージングの実現(1)シート配置新型アテンザではセダンボデー/ワゴンボデーでそれぞれ2種類のホイールベースを持つ。SKYACTIV-BODYコモンアーキテクチャ構想に則りBピラー後部のフロアを延長することで車台の基本骨格を維持しつつ最低限のユニーク部品でホイールベース違いを実現している。セダンではルーフ後部からリアデッキにかけて滑らかに絞り込まれたデザインの実現と居住性の向上を目指して,ホイールベースをワゴン比80mm延長している。これに対して後席乗員位置をワゴン比24mm後方へ移動とすることで後席の足元スペースの拡大とヘッドクリアランスを両立させた。乗員位置が2種類になることにより,従来であれば乗員拘束装置位置がユニークとなることにより,パネル類の新設が必要となる。これを回避するために開発・生産が一体となってシート取り付け構造および乗員保護装置アンカー位置を検討し,Fig.5に示す取り付け穴と,Fig.6に示す同形状ブラケットの位置を移動するのみで,骨格,パネル形状を共通としたまま,乗員位置違いに対応することができた。(1)リヤダンパまわり構造CX-5と同様,セダン/ワゴンともに,リヤダンパ取り付け下側には,SKYACTIV-BODYの大きな特徴であるデュアル・ブレース構造を用いた(Fig.7)。そして,リヤダンパ取り付け上側では,車型に合わせた構造を採用した。Fig.8のように,セダンは,リヤダンパ取り付け部から上方へ伸びるサスペンションハウジングレインが,ルーフサイドレインへ連続して結合する構造である。一方,ワゴンは,リヤダンパ取り付け上部にクォータウインドウがあるため,ルーフサイドレインと「連続化」が困難であった。そこで,Cピラーレインなどの構造に工夫を行い,併せて連続性を阻害する部位に発泡充填材を採用し,局部的な弱点部のない構造とした。Fig.5 Belt AnchorageFig.7 Rear Body StructureFig.6 Belt Anchor Bracket3.ワゴンボデー構造新型アテンザでは,プラットフォーム性能を左右する重要なリヤダンパマウント周辺の構造において,各車型の連続性を考慮した工夫を行い,ワゴン車型でもセダン同様の高い車体剛性感を実現すると同時に軽量化を達成した。このための構造と特徴について述べる。Fig.8 Rear Side Body Structure―80―