ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30
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マツダ技報 2012 No.30
マツダ技報No.30(2012)Fig.1 SOUL RED Color2.開発目標2.1狙いの色・質感今回のソウルレッドでは,デザインテーマ「魂動」により,“内から発せられたような鮮やかな赤”の色の実現に向け,“ハイライトの鮮やかさ”と“深み”を有する塗色の開発を行った。ここで,“深み”とは,目視した際に塗膜の奥深くから光の反射があるように感じることである。この質感をボデーカラーで表現するには,ハイライトの鮮やかさに加えて,観察角度による色の変化(陰影)が重要であり,正反射付近(ハイライト部)で,光の反射が強く感じられ,それ以外の部分(フェース~シェード部)では光の反射を感じない程に暗くなる必要がある。ハイライト,フェース及びシェードの観察角度をFig.2に示す。Face HighlightFig.3には,他社のボデーカラーとマツダのこれまで量産してきた赤系のボデーカラー(図中の赤丸)を記載した。トゥルーレッドは,際立った“鮮やかさ”をもつ色で,白色の中塗り層と,赤顔料が入ったソリッドカラーベース層により,構成されている。ベロシティーレッドは,“鮮やかさ”とマイカ特有の“輝き”が特徴的な色で,赤のソリッドベース層と,光輝材であるマイカの入った半透明のベース層で構成されている。ジールレッドは光輝材であるアルミフレークを入れることで,陰影が増し,“深み”を有する(Fig.4)。これらに対し,ソウルレッドカラーは今までにない高いレベルで“鮮やかさ”と“深み”の両立を狙っており,Fig.3において,鮮やかさと深みが量産色よりも高い斜線範囲を開発色のターゲットに設定した。Chroma on the highlight areaTargetShadeSampleSpecular ReflectionContrasts and depthFig.3 The Quality Level of Red Colors and TargetFig.2 Angle to Observe True Red (So) Velocity Red (Mc)Zeal Red (Mc)2.2質感の定量化狙いの色を短期間に確実に開発するためには,質感のレベルを開発関係者間で共有化できる指標が必要であり,塗色ごとにポイントとなる質感を数値に落とし込まなければならない。そこで,塗色開発に先立ち,前項で述べた“鮮やかさ”や“深み”の質感に対し,人間の感覚の定量化を行った。Fig.3にソウルレッドの開発で用いた質感マップを示す。このマップは様々な光学的な測定値とデザイナの目で見た感覚の関係から新たに“鮮やかさ”と“深み”の指標を設定し,他社のレッドも含めてポジショニングしたものである。この2つの指標を用いることで,赤系の塗色に対し,質感の特徴を1つのマップ上で把握することが可能となった。Aluminum FlakeMicaRed PigmentVividnessVividness Deepness&BrillianceFig.4 Mass Production-Colored Coating Constitution3.開発コンセプト3.1目標質感に対する理想的な光学特性“鮮やかさ”と“深み”の質感を発色させるための理想の光学特性(分光反射率)をFig.5に示す。狙いの発色の一つ目のポイントは,物体に当たる可視光(光の波長:400~700nm)のうち,赤以外の光(波長:400~570nm)の反射を抑え,余分な光の混ざりをなくすことで,よりクリア―84―