ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30

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マツダ技報 2012 No.30

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概要

マツダ技報 2012 No.30

No.30(2012)マツダ技報で高彩度な赤色にすることである。二つ目のポイントは,赤い光(波長:600~700nm)に対し,ハイライトとシェードの反射率の差を大きくすることによって,“ハイライトの鮮やかさ”と“深み”を実現できると考えた。Reflection RatioIdeal①High ClearnessREDWavelength of Light (nm)Fig.5 Spectral ReflectanceHighlight②High Vividness&High shadowShade3.2新たな塗膜構成について前項の理想的な光学特性を実現するために,新たな塗膜構成を創出し,目標質感を実現することを検討した。顔料や光輝材の濃度が増えすぎると塗膜品質が低下するという課題があり,前章で述べた赤顔料の多く入ったトゥルーレッドがもつ“鮮やかさ”とアルミフレークが多く入ったジールレッドがもつ“深み”を,単層で両立させることは困難である。そこで,ベース層を顔料の入った着色層とアルミフレークの入った反射層に機能分配することで“鮮やかさ”と“深み”の両立を図った。ソウルレッドの塗膜構成をFig.6に示す。これは従来にない新しい塗膜構成となっており,第1ベースの反射層で反射された光が,第2ベースの赤の半透明層を透過することで,塗膜の奥深くから反射がある感じを有することができる。ソウルレッドカラーの第1ベース塗料には,ハイライトでの強い反射と高い陰影が望める高輝度アルミフレークを,また,第2ベース塗料には鮮やかな発色が望める赤の高彩度顔料を配合した。(1)クリアな発色のための工夫Fig.6に示した塗膜構成において,第2ベースで赤以外の光を完全に吸収することが可能であれば,濁りのないクリアで高彩度の発色が期待できる。しかし,第1ベースからの反射を活かして高い彩度を得るためには,第2ベースの透明性を確保することが必要であり,第2ベースの顔料だけでは,Fig.7に示す通り,赤以外の光の吸収が十分でない。そこで,その対策としてソウルレッドカラーは第1ベースにも赤の顔料を入れることで,赤以外の光の吸収を補い,赤以外の光の混ざりをなくし,クリアな発色を実現することを検討した。今回,実際に採用した塗膜構成をFig.8に示す。Reflection RatioOnly an Aluminum Flake(1st Only an Aluminum Flake(1Base Coat)st Base Coat)DownUpREDDownWavelength of Light (nm)HighlightShadeFig.7 Spectral Reflectance In Case of Only an AluminumFlake2nd Base CoatTransmission Layer1st Base CoatReflex LayerClear CoatFig.8 Coating Constitution of Production ColorHigh VividnessRed PigmentHigh ReflexAluminum Flake(2)鮮やかな発色と高陰影(深み)の両立の工夫鮮やかな発色と高陰影を実現させるために,第1ベースに含まれるアルミフレークの配向性を良くすることを検討した。Fig.9にアルミフレークの配向と反射光分布の関係を示す。アルミフレークの配向が悪い場合,拡散される光が多くなり,ハイライトとシェードの反射量の差が小さいために,陰影が弱くなる。一方,アルミフレークの配向が良いと拡散される光が少ないために,正反射付近への反射量が多く,正面からシェードにかけては反射量が少なくなる。したがって,ハイライトとシェードでの反射量の差が大きいため,陰影が大きくなる。本開発では,塗料の粘性制御と塗装条件の影響を明らかにすることによって,第1ベースのアルミフレークの配向性の向上を図った。2nd Base Coat1st Transmission LayerBase CoatReflex LayerClear CoatHigh VividnessRed PigmentHigh ReflexAluminum FlakeFig.6Coating Constitution―85―