ブックタイトルマツダ技報 2012 No.30
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マツダ技報 2012 No.30
マツダ技報No.30(2012)「一体感を持ってクルマを操る歓び」である。この目標を実現するため,エンジン・トランスミッション・ボデー・シャシーのすべてにおいてSKYACTIVTECHNOLOGYを採用するとともに,人間中心思想に基づいてドライビング環境を徹底的に造り込んだ。(1)理想の運転姿勢を実現するドライビング環境CX-5では,人間を中心としてすべての機能や装備を適切にレイアウトするという考え方に基づき,特にドライビングポジションにこだわりを注ぎ込んだ。手足を自然に伸ばした位置にステアリング,アクセルペダル,フットレストがあり,それらをドライバの身体に合わせて左右均等に配置した。ステアリングは軽い力でもしっかりとグリップできる形状を実現。シフトノブは手のひらにフィットして力が入れやすく,かつステアリングからの持ち替えがなめらかに行える位置にレイアウトした。アクセルペダルは踏み込む足の軌跡とペダルの軌跡が同じになり,かかとのズレがないオルガン式ペダルを採用。また,Aピラーを一般的なSUVよりも後ろに引いた位置にレイアウトすることで,前方視界を広げるとともに,右左折時やコーナ進入時に,斜め前方を確認しやすくした。更に,Aピラーとドアミラーの間に十分なすき間を設けることで,歩行者の視認を妨げないようにした。このように,人間が直接操作したり見る部分を丁寧に造り込むことで,クルマとの一体感や快適な走りを実現した。(2)進化した「人馬一体感」「意のままに操る」とは運転意図に応じて念じるままに迅速かつ忠実にクルマが挙動することであり,それには運転者の意図しない無駄な修正行為が皆無の状態を理想状態と定義した。その実現のためのアプローチが以下に示す三段階の人とクルマの一体感の獲得である。●予見性の確保ドライバの運転意図に対して,クルマがどのように動くのか。実際の操作を行う前にクルマの挙動をイメージできる「予見性」の確保に注力した。これにより,ドライバは次にどのようなインプットをクルマに与えるべきか,そして与えたインプットでクルマがどのように動くのかを,瞬時に判断することが可能になる。このために運転操作に対するクルマの反応を人間がリニアであることを感じるレベルに造り込んでいった。●同期性の確保運転操作には操作するだけではなく戻す動きが必要になる。「同期性」とは,ドライバの運転意図に対して操作する側だけではなく戻す側にもクルマの挙動が一度で決まり,ムダな修正が不要となる状態,すなわちドライバとクルマが「シンクロした状態」を示す。「同期性」の質の良し悪しによって,ドライバが「予見」した動きに対してクルマがどう反応したかを判断することできる。●調和性の確保実際の運転環境では,つねに複数の運転操作を同時に,そして連続的に行う必要がある。これらの複合的な「走る・曲がる・止まる」すべての運転操作がドライバにとってハーモナイズしていると感じられる理想状態を目指し,統合的な開発を行った。(3)クルマとの一体感を実現する,リニアなフィードバックの造り込みCX-5では,以下に示す「走る・曲がる・止まる」のそれぞれの領域において,ドライバの操作とクルマからのフィードバックがシンクロし,ドライバが予見しやすいリニアなフィードバックが得られるよう,ドライビングダイナミクスの作り込みを行った。●「走る」領域でのフィードバックの造り込みもっとも注力したのは,アクセルペダルの踏み込みに対する加速の発生の仕方である。ドライバのアクセル操作に加速をリニアに反応させることで,車速のコントロールがしやすく,長時間乗っても疲れにくい操作フィーリングを実現している。●「曲がる」領域でのフィードバックの造り込みクルマの動きを予見できるステアリングの手応えを実現するため,電動パワーステアリングの制御をきめ細かく進化させた。ステアリングを切ると横Gの増加に伴ってリニアに手応えが増えてゆき,戻すときにも横Gの減少に伴って手応えを減らしていくことで,クルマの動きと手応えが一致し,コーナを安定して気持ちよく駆け抜けることができる。●「止まる」領域でのフィードバックの造り込みドライバのブレーキの踏み込み量に対してリニアに制動力を発揮し,期待した通りの減速Gが得られるようにした。また,アクセルペダルとブレーキペダルとの踏み換え操作をしやすくするため,かかとを軸とした回転軌跡に各ペダルを配置。更にショートストローク化することで,素早く安定した操作を可能にしている。キーバリュー3.使い切る歓び:様々な使い方に余裕を持って柔軟かつスマートに対応できる,考え抜かれた抜群の機能性CX-5は,新デザインテーマ「魂動(こどう)」を採用した躍動的なデザインでSUVらしい力強さとアクティビティを表現しながらも,様々なシーンにおいて,乗員全員が快適に楽しく使える空間を確保した。運転のしやすさ,乗り降りのしやすさ,荷物の収納しやすさなど,お客様に本当に便利で快適と実感していただくことを最優先し,使い切る楽しさと満足感を提供するパッケージを造り上げた。―90―