ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31
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マツダ技報 2013 No.31
マツダ技報No.31(2013)特集:モデルベース開発18SKYACTIVエンジン開発を支える燃焼圧解析システムCombustion Pressure Measurement and Analysis System for theDevelopment of SKYACTIV Engines要約吉田昌弘*1神邑剛司*2Masahiro Yoshida Takashi Kamimura当社のパワートレイン開発領域では長年にわたり計測適合支援システムを内製化している。燃焼圧解析領域は1999年に雛形となるシステムを開発し,業務ニーズに合わせた育成を重ねてきた。2011年には車載用燃焼圧解析システムを開発し,SKYACTIVエンジン開発をサポートした。本稿では,当社の燃焼圧解析システムの概要とSKYACTIVエンジン開発での活用事例を紹介する。SummaryMazda, in its powertrain development area, has developed and manufactured its own measurementand analysis systems over the years. Mazda first developed a model for combustion analysis system in1999 and improved it to match the needs of actual engine development. Then in 2011, Mazda developeda combustion analysis system for use in automobiles, which eventually supported the developmentof SKYACTIV engines. This study outlines the combustion analysis system developed by Mazda.1.はじめにSKYACTIV以前のエンジン制御開発では,エンジンユニットの燃焼状態の検証は定常運転時が大半で,実車・過渡運転時のPCM(Powertrain Control Module)制御開発は排ガス・燃費・ドライバビリティ等の諸性能の検証に直接頼る部分が多かった。しかし,世界一の圧縮比14.0により出力と環境性能を高い次元で両立するSKYACTIVエンジンの実現には,定常・過渡全ての運転状態において最適な燃焼状態を制御で作り込む開発が必要である。例えば,SKYACTIV-D(1)では,低圧縮化により筒内温度を下げ上死点付近での燃料噴射を可能にすることで最適な燃焼を実現することを狙っているが,低温時の始動性確保や暖機中の失火回避が課題であった。これらは,始動時・暖機時それぞれの場面で最適な燃焼モードに切り替えることで解決している。このように,回転・負荷・エンジン及び環境状態ごとに最適な燃焼モードを作り込むために,緻密な噴射制御が可能なインジェクタを採用し,過給圧・燃料圧力・EGR等と併せた燃焼サイクルごとの制御を行っている。実車走行中は最適な燃焼モードをスムーズに切り替えることで,出力・燃費・エミッション・静粛性といった互いに背反する性能を高い次元で両立している。つまりSKYACTIVエンジン開発では,実車走行評価を含めた全ての領域においてPCM制御による燃焼状態の育成・検証が不可欠であり,それらを支援するためのエンジンユニット評価用・実車評価用(車載型)の各燃焼圧解析システムと共に,膨大な燃焼制御データを即座に効率良く解析できる処理ソフトの開発を行った。2.燃焼圧解析システムの構成以前よりエンジンユニットの燃焼圧解析は内製の計測システムにより行われ広く定着していた。しかし前述の通り,SKYACTIV開発においては過渡状態でのPCM制御と燃焼の連携解析を効率良く,より高い精度で行う必要がある。求められる機能としては,テストコース・市場走行を含めた実車でのテスト機能,燃焼騒音指標のCPL(CylinderPressure Level)やトレースノックといった微細かつ高速な燃焼圧力変動の解析精度向上,燃焼と制御動作の解析効率向上である。*1,2走行・環境性能開発部Driveability & Environmental Performance Development Dept.―96―