ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31
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マツダ技報 2013 No.31
No.31(2013)マツダ技報これらを迅速かつ低コストで展開すべく,既存の内製システムをベースにハード・ソフトの資産を最大限活かして,計測及び処理ソフトの大幅な機能強化を実施した。更に新たな机上解析ソフト(PIAnalyzer)を新規に開発し,制御と燃焼の連携解析を非常に簡便に行えるようにした。2.1計測ハードウェア計測ハードウェアとして,従来資産の完全活用・燃焼計測の精度と速度の向上・ユニット用と実車用の異なる要求ハード仕様への対応,これらを全て満足できる市販製品を慎重に選定した(Fig. 1,3のmeasurement device参照)。選定ハードウェアは,最大計測電圧レンジ利用時でも約0.3mV/bit計測分解能がある。これはCPL解析や一般的な指圧センサ・チャージアンプの性能に対し十分な性能である。計測速度に関しても,6気筒分の燃焼圧力を計測しても燃焼騒音やトレースノックといった高速な燃焼変動を十分にとらえられる性能を有している。更に,計測・処理の基本ソフトウェアをバイナリレベルで一本化しシステムの開発・保守を効率化すると共に,きわめて低コストでの展開を可能にしている。(1)ユニット評価用ハードウェアユニット評価用は,新旧の計測ハードウェアを同期させることにより最大32チャンネルの高速計測を実現した(Fig.1のsynchronous measurement参照)。燃焼圧解析では,筒内圧力の他にクランクアングル(以下,CA)情報が必要となる。ユニット用計測システムでは,このCA情報を,クランクシャフト軸上に取り付けたロータリエンコーダから取得する。PCM制御モニタデータに関しては,内製のPCM制御開発ツールであるMEPS ( Mazda Ecu Parameter Settingtool)との通信により取得する。利用するプロトコルはASAMの通信規格ASAM MCD3-MCを独自拡張し,通信データのスループットを大幅に向上させたもので,最大1kHzでのPCM制御モニタが可能となっている。なおこの独自プロトコルはMHCP(Mazda Highspeed CommunicationProtocol)と呼び,HILS(Hardware In the Loop Simulation)・ユニット・実車などの試験環境で活用されている。また当システムは,燃焼圧力の解析だけでなく,角度単位での解析機能を活かしたさまざまなメカニズム解析に利用されている。SKYATIV-G (2) Fig. 1 Hardware Configuration for Engine Unit Testingの燃焼開発には,気筒間の排気ガス干渉を抑えたスムーズな掃気が重要な役割を果たすため,排気系開発に利用するCFD(Computational Fluid Dynamics)解析精度向上が必要不可欠であった。そのためFig. 2のように,ユニット評価用システムを利用した排気系の主要箇所の脈動を多チャンネル計測を行い,CFD解析モデル精度を検証した。これにより,モデルの育成と解析結果の確からしさが実証され,SKYACTIVエンジン排気系のモデルベース開発の拡大にも貢献した。Fig. 2 Measurement Multi-Channel Exhaust Pressurefor Verification of the Accuracy of CFD Simulations(2)実車評価用ハードウェア計測デバイスは可搬性を考慮し, USB接続タイプを採用した(Fig. 3)。実車評価用の最大の特徴は,CA情報をエンジンのクランクアングルセンサ(以下,CAセンサ)信号から取得する点である。実車に搭載にされたエンジンは,スペースの制約上ロータリエンコーダを取り付けることができない。そのため,CAセンサ信号を分岐計測し,ソフトウェアで0.5deg単位に逓倍処理することで,燃焼圧解析に必要となる角度基準信号を内部生成している。―97―