ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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概要

マツダ技報 2013 No.31

マツダ技報No.31(2013)操作指令におけるサージ電圧など,電気的な動特性も検討可能とした。4.2モータの電磁界断面設計の最適化(1)性能向上限界の俯瞰と性能向上の高寄与因子の抽出モータ体格の制約条件を一定とした時の動力性能向上限界を掌握するために,パラメータスタディの上下限を常識的な設計者が検討しないような領域まであえて広げた事例をFig. 8に示す。左図の初回検討はロータデザインを固定してステータのみ新設計,右図ではロータ・ステータ共に新設計している。また右図のロータの断面形状は,数種類の断面設計コンセプト(色別)を用い,各々別個に設計改良を行っている。なお,右図では,それぞれのコンセプトの最良のデザイン群(パレート解)のみを選出してプロットした。変数は入力と出力を区別せず総当たりで相関係数を算出するが,重複表記を割愛するため,階段状に関係を表示する。本事例においては入力変数(設計変数)の加工値であるSlotAreaがTorqueに対して正の強い相関,Powerに対して負の強い相関を示している。あるいは変数MaxEffに対して,他の変数は相関が低いことを示している。(2)設計探索作業の効率向上前述の4.2 (1)の結果から得られた高寄与因子群のみを操作した場合を,Fig. 10に示す。二つの性能指標を引き上げるべく右上方向に向けてのみ,集中的に新デザインが改良されている。つまり設定した複数の目的を充足するように,目的指向で効率的に探索できるようになった。Max.Torque [N・m]□: Pareto optimal solutionsgroupMax.Torque [N・m]Max.power [W]Max.power [W](a) Fixed Rotor Designs study (b) Variable Rotor Designs studyFig. 8 Pareto Optimal Solutions Plot Sample縦軸にモータ/インバータの最大トルク性能,横軸に最大出力性能を用いてプロットすると,分布にある程度の輪郭が生じた。これはモータの磁気飽和やインバータとの組み合わせによる力率操作などの技術律則によって生じる成長限界であると考えている。最大トルクと最大出力など,複数性能の向上機能を確認した後,本データベースの約30種の入力変数と数十種の出力変数間の相関係数を分析し,動力性能向上への寄与度の高い入力変数(設計パラメータ)の選別を行った。その一部をFig. 9に示す。Fig. 10 Pareto Answer Solutions Plot Sample(3)優秀な設計群のパラメータ分布の検証Fig. 10で選出された優秀なデザイン群の設計パラメータの組み合わせを分析した事例をFig. 11に示す。左から縦軸ごとに設計パラメータを,上下枠は制約条件を示す。高性能デザイン(太線)のパラメータの組み合わせは,必ずしも唯一解に収束するのではなく,ある程度の帯域で分散した。IPMモータと三相交流インバータの基本特性の机上設計技術としては,今回構築した一連の計算システムが有効に機能することを確認した。しかしながら,本システムを用いて,自動車の電動系部品として仕様を最適化し,究極の設計に洗練していくには,更にマツダ固有の目的関数や制約条件の追加が必要不可欠と考える。Fig. 9 The Parameter Sets a High Correlation toSystem PerformanceFig. 11 Combination of Design Parameters Sample―110―