ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

ページ
127/228

このページは マツダ技報 2013 No.31 の電子ブックに掲載されている127ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

マツダ技報 2013 No.31

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

マツダ技報 2013 No.31

マツダ技報No.31(2013)システムの連携機能を構築した。すなわち,通信利用型システムでは他車両や建物等の物陰にある対象を検知し,危険の存在をドライバに認知させる。そして,危険対象までの距離を精度よく検知できるという車載検知型システムの特性を活かし,ドライバが認知ミスをして衝突する危険があるときに警報によりブレーキ操作を促すことで認知ミスをカバーすることとした。2.2直感的に理解できるHMIHMIの基本性能として,ドライバが煩わしく感じないように情報提供することで不安全状態を回避することが必要である。これに加えて,脇見時間を最小化することを重要視し,表示情報を遠方・上方に配置すると共に,直感的に理解できる情報コンテンツを設計した。表示情報の遠方・上方配置化は,ウインドシールド投影型HUD(Head-Up Display:ヘッドアップ・ディスプレイ)で実現した。ウインドシールド投影型HUDは,メータフード内やナビゲーションディスプレイに情報表示する場合に比べて,ドライバ正面のより上方に情報を表示できる。このため,運転中の視線移動を最小限にすることが可能となる。また,HUDはディスプレイ画面の虚像を見かけ上遠方に投影することができるため,前方道路から情報表示へ視線を移動する際の焦点調節の負担が少なく,表示画面への注視時間を短縮する効果が期待できる。直感的に理解できる表示コンテンツとするためポイントは以下の3点であると考え,これら要件を織り込んだ表示コンテンツを設計した(Fig. 2)。①自車を中心に鳥瞰的に危険対象を表示する②ドライバが経験し,理解しやすいシンボルアイコン,色情報を統一的に用いる③接近方向からシンボルアイコンをスライドインさせることで,どちらの方向からどんな危険対象が接近するのかを視覚的に表現する3.システム構成Fig. 3に,「マツダアテンザASV-5」に搭載されているデバイスを示す。カメラやレーダなどの車載センサに加えて,車車間・路車間通信を行う通信デバイスを搭載している。また,ドライバへの情報提供デバイスとして,ウインドシールド投影型のHUDとスピーカを搭載している。3.1車載センサ市販されている「マツダアテンザ」に搭載されているi-ACTIVSENSEでは,ミリ波レーダ(76GHz帯)や近赤外線レーザを用いて先行車両や前方の障害物を検知したり,マイクロ波レーダ(24GHz帯)を用いて後側方の接近車両を検知したりしている。これらに加えて「マツダアテンザASV-5」では,対向車や右折先の横断歩行者を検知するために,右前端部にマイクロ波レーダを,ドアミラーの付け根にサイドカメラを設置した。Fig. 3 System ConfigurationFig. 2 HUD Screen Image3.2通信デバイス700MHz帯通信機を用いて,他車両や路面電車と相互に車車間通信を行い,GPSから得られる位置情報(緯度,経度)や進行方向,速度,ブレーキやウインカなどのドライバ操作情報などを送受信する。また,「マツダアテンザASV-5」には,スマートフォンを活用した歩車間通信機能を搭載した。歩行者が所持するスマートフォンに通信アプリケーションをインストールすることにより,インターネット網を経由して車と歩行者の間で通信を行う。これにより車両は,スマー―120―