ブックタイトルマツダ技報　2013 No.31

概要

マツダ技報　2013 No.31

マツダ技報No.31(2013)歩行者の情報を提供することでドライバの認知を支援する機能(Fig. 6 (d)),および接近する直進対向車の情報を提供することでドライバの認知を支援する機能を構築した(Fig. 6 (e))。4.3システムの機能動作本節では,Fig. 6 (b)に示した後方からの路面電車接近情報提供とFig. 6 (d)に示した右折時の歩行者情報提供を例に取り上げ,システムの機能動作について述べる。一連の機能の動作の流れをFig. 7に示す。右折しようと交差点に進入したときに路面電車が後方から接近すると,喚起音と共にFig. 7の右下に示す画像をHUDに表示することでドライバに後方から路面電車が接近していることを気づかせる。ドライバの右折意思は,ドライバのウインカ操作とブレーキ操作の有無,車速,交差点に対する自車の位置から判定している。また,路面電車の接近を知らせるタイミングは,TTC(Time To Collision:衝突までの時間)に基づいて算出している。GPSで測位した自車位置と車車間通信で獲得した路面電車の位置から算出した相対距離と路面電車の走行速度を用いて逐次TTCを計算し,あらかじめ設定しておいた閾値を下回った時点で情報を提示している。また,HUDの表示画像は,路面電車が自車を追い越した時点で消している。GPSで測位した自車位置と車車間通信で獲得した路面電車の位置から相対的距離を算出し,路面電車が自車を追い越したことを判定している。次に,路面電車が通過した後,自車が右折待ちから発進しようとしたときに,右折先の横断歩道とその付近に歩行者が存在すると,喚起音とともにFig. 7の右中央に示す画像をHUDに表示することで,ドライバProvision of information on right-turnvehicle ahead (For tram driver)When distance to thecar becomes shortに歩行者が存在することを知らせて注意を喚起する。まず,歩車間通信で獲得した歩行者の位置情報を用いて,右折先の横断歩道とその周辺に歩行者がいるかを判断する。このとき,歩車間通信で獲得した歩行者の進行方向の情報から横断歩道から遠ざかる歩行者は除外している。注意喚起は,右折待ちから発進したことをドライバのブレーキ操作と車速から判断し,このタイミングで行っている。この注意喚起にもかかわらず,ドライバが右折を継続し,横断歩行者と衝突の危険がある場合には,車載センサで検知した結果に基づいて警報を発報する。警報音とともにFig. 7の右上に示す画像をHUDに表示することでドライバに歩行者と衝突する危険があることを警報し,ドライバにブレーキ操作を促す。5.広島でのITS公道実験Fig. 5,6に示す7つの支援機能を確認するために,広島市内の公道で走行実験を行った。実験は,Fig. 8に示す広島電鉄江波線(江波駅~舟入本町駅)沿いで行った。また,実験に用いた「マツダアテンザASV-5」,路面電車をFig. 9に示す。実験の結果,自動車と路面電車間の車車間通信により互いに情報をやり取りすることで,Fig. 5,6 (a)~(c)に示す自動車と路面電車の連携による安全運転支援が,自動車と路面電車の双方で動作することを確認できた。また,Fig. 6 (d)の歩行者との衝突防止支援,Fig. 6 (e)の対向車との衝突防止支援が,通信利用型システムと車載検知型システムの連携の考え方に基づき動作することを確認できた。Provision of information on pedestrian inright turn (For car driver)In the case where thereis a possible collision topedestrian because yourcar continues right-turnHUD screen imageWarning of pedestrian (Sensors)Electronic sound:“Pi, Pi, Pi”Voice information:“Right-turnvehicle ahead”When your car restartsafter a pause while apedestrian exitsAlert to pedestrian (P2V)Electronic sound:“Pong”When the car indicatesintension to turn rightProvision of information on approachingtram in right turn (For car driver)When tram isapproaching while yourcar pauses at anintersectionFig. 7 Example of Support ScenarioInformation on approaching tram (T2V)Electronic sound:“Pong”―122―