ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

No.31(2013)マツダ技報な通信性能を満足できなくなることも考えられる。Fig.1に示すように,システムマージン確保のための通信システム設計を行うには,走行環境の平均伝搬損失と所要の通信性能達成に必要な平均SNRを精度よく予測する必要があり,そのためには,走行環境のフェージング特性を正確に把握する必要がある。今回,実際の市街地交差点での出会い頭事故防止支援サービスを対象に通信性能予測モデル及びフェージング特性モデルを検討し,シミュレーションとフィールド実験により,フェージング特性モデルの再現精度と平均SNR予測精度を検証した。Table 2 Line Design Example(Non Line of Sight Intersection)EnvironmentCityUrbanSuburbsFading MargindB6.36.85.8Require C/(I+N)@QPSK/100BytedB4.0Receiving Sensitivity dB -90.1Acceptablepropagation lossdB 99.0 98.5 99.5Distance m 105(10+95)Propagation Loss(Estimate)dB 89.2 96.8 91.6System Margin dB 9.8 1.7 7.9Required AverageSNR@PER(depends onthe Environmentand the design)Power(dB)Tranmission Power LevelAcceptable Propagation Loss(depends on the Environment and the design)Average Propagation Loss @PositionSystem Margin(depends on the Environment and the design)★Receiver Gain(antenna)Fading Margin(depends on the Environment)★Required CINR@PER (system)Average White Gussian Noize Level@Temperature★:design parameterFig. 1 Outline of Power Level2.車車間通信性能予測モデルReceivingSensitivity@PER車車間通信システムでは,運転支援サービスコンセプトを基に,ドライバの反応時間や検知対象車両の上限速度などを考慮した通信エリアサイズと通信性能要件が規定されている(1)。通信性能の指標は,通信エリア内の対象車両から送信された情報を受信した際のエラー度合いを示すパケットエラー率PER(Packet Error Rate)で定義され,5%以下とすることが必要とされている。また,平均SNRと平均PERの関係は式(1)で示される。??? ?????????? ? ?∞??????? ??????|?????左辺のPER ??????は平均PERを表し,γ???は平均SNRを表している。右辺のPER?γ?はホワイトガウスノイズ環境下でのSNRとPERの関係を表す関数で,変調方式,パケット構成,誤り訂正方式など通信機の伝送方式により決まる。ここで所要PERを達成するために必要となるSNRは通信機の伝送効率を表す指標である「搬送波レベル対干渉・雑音比」CINR(Carrier to Interference and NoiseRatio )に相当し,回線設計例(2) ( Table 2 )では「Require C /(I+N)」として示され,無線機の受信感度に影響する。また,pdf?γ|γ??は受信信号SNRの空間分布を確率密度関数で表したもので電波伝搬特性におけるフェージング特性に相当する。式(1)から求まる所要平均PERを達成するために必要な平均SNRとCINRの差がフェージングマージンに相当する。受信感度,フェージングマージン,及びゲインなどから求まるシステムの許容電力損失と実環境下で予測される平均電力損失との差がシステムマージンであり,システムマージンが0dB以上ないと通信システムとして成立しない。以上より,システムマージンを確保するためには,環境の平均伝搬損失と共に,伝送特性と伝搬特性から平均SNRを把握しシステムの許容損失を精度高く設計する必要がある。車車間通信システムの変調方式は,無線LANなどで一般的に使われているOFDM ( OrthogonalFrequency Division Multiplexing)であり,伝送特性に関しては参照可能な知見が豊富であるのに対し,車車間通信サービス環境特有の伝搬特性については,平均伝搬損失予測モデルに関する報告事例(3)はあるが,700MHz帯車車間通信のフェージング特性モデルに関する検討事例は見当たらない。今回,日本における実用化優先度の高い代表的なサービスとして,見通し外交差点出会い頭発進待機支援サービスを対象に,フェージング特性モデルを検討し,シミュレーションとフィールド実験により再現精度を検証した,以下,その結果につき述べる。3.フェージング特性モデル3.1フェージング特性モデルの検討送受信車両間の距離による平均電力損失変動が時間空間的にマクロな変動であるのに対し,フェージング特性とは,送受信車両間の建物,路側構造物,周辺走行車両などによる多重反射波が複雑に干渉した結果発生する,時間空間的にミクロな信号強度変動特性のことである。このミクロな変動特性は信号強度の統計的分布特性として確率密度関数pdfで表現される。基地局と移動局関係での陸上移動体通信における見通し外通信では,平均値(1)―125―