ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

ページ
133/228

このページは マツダ技報 2013 No.31 の電子ブックに掲載されている133ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

マツダ技報 2013 No.31

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

マツダ技報 2013 No.31

マツダ技報No.31(2013)が一定とみなせる狭い範囲での受信レベルの分布特性は,位相関係が全方位にわたって無相関かつ定常状態の分布に相当するレイリー分布に従うとされている(4)。しかし,車車間通信では,送受信アンテナが共に低く,相互に移動していることから,場合によっては分布特性がレイリー分布から外れる可能性も指摘されている(5)。日本における700MHz帯車車間通信のフェージング特性も,交差点の形状,建物配置や送受信車両の位置関係によっては,フェージング特性が変動する可能性があると仮定し,レイリー分布を含み,より広く分布特性を表現できる仲上-m分布(6)(式(2))まで拡張し,フェージング特性のモデル化を行った。?????? ????? ????? ???? exp ?? ??? (2)??Γ(m):ガンマ関数仲上-m分布は式(2)中のパラメータ“m”の値(以下mファクタと呼ぶ)により,電波伝搬の結果生じるフェージングの度合いを広く表現でき,m=1の場合がレイリー分布となる。m>1の場合は,見通し関係のような強い直接波成分のある分布に相当し,フェージングの度合いは,レイリー分布よりも緩いと定性的には理解できる。逆に,m<1の場合は,レイリー分布よりも激しいフェージング状態と理解することができる。車車間通信のフェージング特性を仲上-m分布でモデル化し,代表的なサービス提供環境のmファクタを求めることで,精度高く平均SNRを予測できる可能性がある。東京都内の実在の市街地交差点を対象とした,シミュレーションとフィールド実験により,フェージング特性を仲上-m分布でモデル化することの有効性に関して検証を行った。3.2シミュレーションによる再現性の検証シミュレーションには,電波を光線として近似し,その軌跡上の反射・回折・透過・減衰・干渉などの影響を幾何光学原理により計算するレイトレース法電波伝搬シミュレータ“Wireless Insight”(REMCOM/構造計画研究所)を使用し,車車間通信による電波伝搬特性を解析した。(1)シミュレーション条件対象交差点の道路・建物寸法,間隔,高さなどからFig. 2に示す実スケールの3次元形状モデルをシミュレータ上に作成した。道路,建物の材質は全てコンクリートとした。送信車両(TX),受信車両(RX)それぞれをTable 3に示す3通りの位置(TX1~TX3,RX1~RX3)に設定し,9通りの送受信車両位置関係ごとに電波伝搬特性を計算した。Fig. 2 Raytrace Simulation ModelTable 3 Vehicle Distance from Center of theIntersectionRX PositionDistance (m)TX PositionDistance (m)RX120.3TX129.2RX228.3TX249.0RX336.3TX3115.0Fig. 3 Receiving Antenna Array Settingアンテナモデルには,フィールド実験で使用する700MHz帯水平面無指向性モノポールアンテナパラメータを設定した。送信アンテナは,車両を模擬した金属箱モデルの上に設置し,フィールド実験で使用する通信機の中心周波数と同じ720MHzの連続サイン波を放射した。受信車両位置におけるフェージング特性を評価するためには,平均電力が一定とみなせる狭いエリアを設定する必要があるため,交差点角建物による回折波の自由空間減衰量が1dB以内とほぼ一定とみなせる範囲を計算し1800mm×1800mmのエリアを設定した。このエリア内にFig. 3に示すように,33×33=1089個の受信アンテナを等間隔に配置した。ただし,簡単のため受信側には車体モデルは設置していない。受信エリア内の各アンテナで得られた信号強度からアンテナ位置ごとのSNRとエリア内の平均SNRを算出し,受信エリアの受信電力分布特性(pdf)を求めた。レイトレース計算手法はイメージング法とし,計算条件は,反射,透過,回折回数を,それぞれ3回,1回,1回とした。―126―