ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31
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マツダ技報 2013 No.31
No.31(2013)マツダ技報Fig. 5に示す。(a)直進走行時では,左右上腕三頭筋(L-out-2)(R-out-2)の同期的活動が減少することが確認できた。また, (b)定常旋回時や(c)コーナ切り込み/切り戻し時では,拮抗筋である左上腕三頭筋(L-out-2)の活動を増加させることなく,主動筋である右三角筋前部(R-in-1),右上腕三頭筋(R-out-2)および右橈側手根伸筋(R-in-3)の活動を減少させている。これらは全て意図した通りの結果であり,粘性補償が狙い通りに働いていることを確認できた。また,この結果は3章で示した考察が適切であったことを裏付ける。SWA[deg](L-in-1) AD[%MVC](L-out-1) PD[%MVC](L-in-2) BB[%MVC](L-out-2) TB[%MVC](L-in-3) ECR[%MVC](L-out-3) FCU[%MVC](a) (c) (b) (c)Straight Turning SteadyReversingdriving a wheel turning a wheel201000 10 20 30 40 50402000 10 20 30 40 50402000 10 20 30 40 504200 10 20 30 40 5042Decrease00 10 20 30 40 50201000 10 20 30 40 502010No increase00 10 20 30 40 50Time [s]SWT[Nm](R-in-1) AD[%MVC](R-in-2) BB[%MVC](R-out-2) TB[%MVC](R-in-3) ECR[%MVC](R-out-3) FCU[%MVC](a) (c) (b) (c)Straight Turning SteadyReversingdriving a wheel turning a wheel4200 10 20 30 40 5040Decrease2000 10 20 30 40 504200 10 20 30 40 504Decrease2Decrease00 10 20 30 40 5020Decrease1000 10 20 30 40 502010LKAS OFFLKAS ON00 10 20 30 40 50Time [s]Fig. 5 Muscular Activities When Driving Test Vehicle上述の筋活動と操舵角,操舵トルクの特徴量をFig.6に示し,Table 1,2の主観評価との対応関係を評価する。Fig. 6の各項目は,各車両のLKAS OFFに対するLKAS ONの減少率であり,試験回数3回,被験者2名分の平均値である。(a)直進走行時,左右上腕三頭筋(L-out-2)(R-out-2)の同期的活動は,A車が増加,B車と試作車両は減少し,保舵の楽さと安定性の主観評価結果と一致する。(b)定常旋回時では,主動筋に相当する右三角筋前部(R-in-1),右上腕三頭筋(R-out-2)および右橈側手根伸筋(R-in-3)の活動の減少率が,B車,A車,試作車両の順で大きく,保舵の楽さの主観評価と一致する。また,拮抗筋に相当する左上腕三頭筋(L-out-2)の活動は,A車が増加,B車と試作車両は減少し,保舵の安定性の主観評価と一致する。(c)コーナ切り込み/切り戻し時では,拮抗筋に相当する左上腕三頭筋(L-out-2)の活動は,A車が増加,B車と試作車両は減少し,操舵の滑らかさの主観評価結果と一致する。以上より,操舵支援には粘性特性をシーンに応じて調整することが重要であり,提案した制御ロジックは(a)直進走行時の保舵の安定性と楽さ, (b)定常旋回時の保舵の安定性と楽さ, (c)コーナ切り込み/切り戻し時の操舵の滑らかさにおいて,効果的に作用することを確認できた。Effortlessnessand stabilityduring (a)straight drivingEffortlessnessduring (b)steady turningStabilityduring (b)steady turningSmoothnessduring (c)turning a wheelSmoothnessduring (c)reversing a wheel(L-out-2) (R-out-2)SynchronousSynchronouscontractioncontractionSD of SWASD of SWT(R-in-1)Agonist’s Agonist's contraction(R-out-2)Agonist’s Agonist's contraction(R-in-3)Agonist's contractionAgonist’s contractionAverage of SWT(L-out-2)Antagonist's contractionAntagonist’s contractionSD of SWASD of SWT(L-out-2)Antagonist's contractionAntagonist’s contractionSD of SWASD of SWT(L-out-2)Antagonist’sAntagonist'scontractioncontractionSD of SWASD of SWTVehicle AVehicle BTest vehicle-15 -10 -5 0 5 10 15Reduction rate [dB]Fig. 6 Comparison of Control Performance5.おわりに『車は人間が運転するものである』という考えの下,より良い支援を行うためには,安全性・利便性のみならず,操舵フィーリングを損ねないことが重要であると考え,車線維持走行時における操舵支援制御方法の検討をドライバの上肢の筋活動に着目して行った。その結果,左右対称筋の同期的活動や拮抗筋活動を増加させることなく,主動筋の活動を減少させることが,操舵フィーリングの良いLKASを実現するためのポイントであることを見出した。この知見を基に,道路曲率に応じたアシストによって主動筋活動を低下させるとともに,粘性制御を合わせて行うことによって拮抗筋活動を抑える操舵支援制御手法を考案した。これにより,直進走行時や定常旋回時のような一定の操舵角を保持するシーンでは,保舵の楽さと安定性を,コーナ切り込み/切り戻し時のような操舵を行うシーンでは,操舵の滑らかさを向上させることができた。―135―