ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

No.31(2013)マツダ技報2)混合気形成最適化低圧直接噴射式エンジンでは,噴射弁の位置,噴射方向,噴射タイミング,噴射期間等多くのパラメータが影響するため,実験的に最適諸元を求めるには莫大な試作及び評価を要す。そこで,数値解析(CFD)により混合気分布の解析を行い,熱効率が最大となるインジェクタの位置,噴射方向や噴射率等の仕様を求めた(6)。解析の結果,燃焼に最適な混合気分布は,Fig. 4に示すように,燃焼室中央からロータ回転方向進み側にかけて水素を重点的に配置する分布であり,それは噴射方向を長軸方向からに燃焼室方向に5度傾けて噴射率を従来比2倍にした仕様で実現できることが分かった。これにより従来水素REと比較して正味熱効率を4%改善した。Hydrogen concentrationRichLeanFig. 4 Best Configuration and Distribution ofHydrogen by CFD3)シール類最適化ガソリンを燃料とするサイド排気ポート方式ロータリエンジンでは,内部EGR低減のためカットオフシールを採用している(7)。一方水素を燃料とした場合,着火性に優れることからカットオフシールの廃止が可能となる。カットオフシールはサイドハウジングを摺動するため,廃止により機械抵抗を低減できる。その他水素専用であるため燃焼室シールクリアランスへのカーボン付着が極微量であるため,各シールクリアランスをガソリン併用仕様と比較して小さくすることが可能である。これにより漏れ損失の低減が図れた。以上の希薄燃焼,混合気形成最適化,シール類最適化等により,従来水素REと比較して2000rpm全負荷において,正味熱効率を30%改善した。(2)プラグイン化とハイブリッドシステム1)水素自動車プラグイン化のメリットプラグイン化によるEV化は,クリーンな電気エネルギーによる航続距離の延伸だけでなく,水素自動車の利便性向上にも寄与する。経産省は現在約1400基の急速充電器のEVスタンドを2014年度までに約3万6000基に拡充する計画を立てている。したがって今後大幅なEVスタンドの増加が見込まれる。また,車庫等車両保管場所でエネルギーの補給が可能であるという利便性を持つ。一方水素ステーションは,2015年に4大都市圏とそ―139―の間の高速道路を中心として100か所,2025年に1000か所程度の建設が計画されているが,当面限定された地域での運用に止まる。なお,EVは充電時間が急速充電でも約30分必要であるのに対して水素は5分以下で充填が可能であるというメリットを持つ。以上の状況を踏まえて,通常利用時は保管場所での充電によりEVで運行し,一充電で走行できる距離を超えた場合には,水素ステーションのある地域では水素で運行し,水素ステーションのない地域に出かけた場合には,EVで運行するという使い方が可能となる。2)車両諸元とレイアウト本車両は,シリーズ式ハイブリッドであるプレマシーハイドロジェンREハイブリッドをベース車両として,高電圧バッテリを大容量化しプラグイン化した。Fig. 5に車両レイアウト,Table 2に車両諸元を示す。高電圧バッテリはモジュール化し,バッテリコントロールユニット,電装品と共にリヤシート下部に配置した。電池容量は,日常の走行を充電した電気によるEV走行で賄えるように,100km以上走行可能な容量とし,また電池出力は,国内の代表的な走行モードとしてJC08を仮定し,それをEVモードで走行可能な出力とした。以上の条件を満足するバッテリとして電池容量20kWh,最大出力70kWのリチウムイオンバッテリを搭載した。充電システムは,CHAdeMO(チャデモ)規格に準拠した充電器による急速充電とAC200V電源から充電を行う普通充電の2つの充電方式に対応した。Fig. 6に示すように車両右側面の後方に普通充電用と急速充電用の充電口を並べて配置した。GeneratorMotorInverterHigh efficiencyHydrogen Rotary EngineSeat HeaterHydrogen TankHigh VoltageBatteryFig. 5 Vehicle LayoutTable 2 Vehicle SpecificationCharging PortsHigh VoltageBattery ChagerSize (Length×Width×Height)WeightSeat CapacityMax SpeedDriving range(JC08mode)4.565×1.745×1.620 m1920 kg5 passengers150 km/hrover 350 kmMotorTypeAC IPM SynchronousMax Power 110kWGeneratorTypeAC IPM SynchronousType13B Hydrogen Rotary EngineEngineDisplacement0.654L×2rotorCompression Ratio 10:01TypeLithium-ionHigh Votage BatteryNormional Volt346VHydrogen Fuel TankCapacity20kWh150L/35MPa