ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31
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マツダ技報 2013 No.31
No.31(2013)マツダ技報論文・解説26水素REを用いたレンジエクステンダEVの発電制御法A Generation Control for Range Extender EV with Hydrogen RE要約大室朗*1堂園一保*2藤川裕志*3Akira OhmuroKazuho DouzonoYasushi Fujikawa胡本博史*4Hirofumi Ebisumoto2009年に開発した「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」のバッテリ容量を拡大しプラグインによる充電機能を付加したレンジエクステンダEV(Electric Vehicle)「プレマシーハイドロジェンREレンジエクステンダーEV」を開発した。このハイブリッドシステムでは,バッテリの大容量化によりエンジン発電量制御の自由度が上がることを活かし,電力収支バランス,熱効率,走行フィーリングなどのさまざまな要求を同時に満足する発電制御法を構築した。また追加された充電機能は,電気エネルギーにより走行できる航続距離を大幅に延伸した。本稿では,複雑に関わり合う要求仕様を同時に満足する発電制御および関連する技術について報告する。SummaryMazda Premacy Hydrogen RE Range Extender EV is developed from the Mazda Premacy HydrogenRE Hybrid (2009). The Range Extender EV is equipped with a plug-in function and largercapacity battery. The new hybrid system with larger capacity and high voltage battery met concurrentlyvarious specifications required such as thermal efficiency, energy balance and engine soundwhen the vehicle is in motion. Also the plug-in function achieved an improvement of driving rangewith electric energy. In this paper, the detail of the electric generation control that satisfies the requiredspecifications is described.1.はじめに2009年に開発した「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」(1)(2)をベースに,エンジンを水素専用として熱効率を改善するとともに,バッテリ容量を拡大し充電機能を付加したレンジエクステンダEV「プレマシーハイドロジェンREレンジエクステンダーEV」を開発した。レンジエクステンダEVとは,バッテリ充電率(以下SOC:State Of Charge)が所定の値より高い時はEV走行し,所定の値より低い時はSOCを下げないようにエンジンで発電しながら走行する車両のことをいう。この車両の利点は,エンジンを発電のみ用いるシリーズ型HEV(Hybrid ElectricVehicle)と同じシステムであることからエンジンを高効率で作動できるだけでなく,プラグインによる充電を行うことで総合的な効率向上を図ることのできる点にある。本車両では,この利点を活かし耐環境性や信頼性を確保しながら,電力収支バランス,熱効率,走行フィーリングを同時に満足する発電制御法を構築した。本稿では,この発電制御法について次の順で詳細を述べる。まず2章においてレンジエクステンダEVの要求仕様を解説し,3章にて車両の構造を述べる。次に4章で,最適制御理論を用いたモデル予測制御法を導入した発電制御法を提案し(3),この制御法が,電力収支バランス,熱効率,エンジン音による走行フィーリングの3つの要求を同時に満足することを示す。そして5章にて,この発電制御法に排気エミッション浄化制御やバッテリ保護制御を追加する。最後に6章で,常温や冷間の環境下でモード走行を行い,この発電制御法が自動車排出ガス規制やバッテリ保護を確保しな*1~4技術研究所Technical Research Center―143―