ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

ページ
151/228

このページは マツダ技報 2013 No.31 の電子ブックに掲載されている151ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

マツダ技報 2013 No.31

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

マツダ技報 2013 No.31

マツダ技報No.31(2013)がら,電力収支バランス,熱効率,走行フィーリングを同時に満足する手法であること示す。2.レンジエクステンダEVへの要求仕様本車両は,電力収支をバランスさせるCSモード(Charge Sustaining mode)において,耐環境性,信頼性,熱効率,走行フィーリングの観点から以下のような要求がある。(1)電力収支バランス①バッテリ充電率(SOC)を走行に影響しない水準に維持する。(2)耐環境性と信頼性②排出ガス中の汚染物質(NOx・HC他)を基準値以下に抑える。③車外騒音を基準値以下に抑える。④バッテリの実充放電電力を充放電可能領域(以下SOF)内に収める。(3)熱効率⑤熱効率の高い動作点(トルク・回転数)でエンジン発電を行う。⑥エンジン始動停止回数をできるだけ少なくする。(4)走行フィーリング⑦エンジン音による走行フィーリングがドライバに違和感を与えないようにエンジン回転数及び回転数変化を制御する。⑧外部環境が高温時や冷間時において,常温時と変わらない走行を可能にする。Fig. 1 Appearance of Vehicle3.2シリーズ型HEV方式本車両ではシリーズ型HEVと同様の発電方式を採用している。その特徴はSOCが高い時はEV走行しSOCが下がってきた時に発電しながら走行できるところにある。その方式の概要をFig. 2に示す。インバータはモータ,ジェネレータ,高電圧バッテリと接続されており,モータ出力とジェネレータ出力との差分電力が昇圧されバッテリに充電される。また,補器類は直流・直流変換器(DC-DCコンバータ)により降圧された電力を使用する。エンジンはPCM(Powertrain Control Module),モータはインバータ内のTMCM(Traction Motor Control Module),ジェネレータはインバータ内のGCM(Generator Control Module),高電圧バッテリはTBCM(Traction Battery Control Module)でそれぞれ制御し,VCM(Vehicle Control Module)により車両全体を制御する。VCMPower LineControl Line3.車両の構造Accessories12V BatteryDCDC3.1車両の構造開発した車両の外観をFig. 1に示す。本車両は内燃機関自動車をベースにレンジエクステンダEVに改造したものである。搭載しているエンジンは排気量654cc×2の水素ロータリエンジン(RE)で,その他には駆動用モータ,ジェネレータ,高電圧バッテリなどを車載している。また,車両の主要諸元値はTable 1となる。Table 1 Vehicle SpecificationmodelParameterValueWeight1920kgVehicleDimensions4.6×1.7×1.6mmMotorMaxPower / MaxTorque 110kW / 350NmGeneratorMaxPower80kWFuel TankCapacity150L / 35MPaTypeLi-ionBatteryNominal Energy20kWhPCMEngineINVETER(TMCM, GCM)GeneratorMotorHigh VoltageBatteryTBCMFig. 2 Structure of Series HEV System4.基盤となる発電制御法4.1発電制御法の概要本車両では,CSモードにおいて,1サンプル時間ごとに評価関数を最小化しながらエンジン発電量を制御するモデル予測制御(以下MPC)を採用する。MPCは未来の状態変化を予測して操作量を決める機能を有するため,エンジン回転数を滑らかに変化させながら電力収支をバランスさせることが可能になる。まず,車速v0[km/h],車両加速度av[km/h/s],モータトルクTr[Nm],SOC[%],補器類の消費―144―