ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

No.31(2013)マツダ技報①走行中のエンジン動作の総時間をできるだけ小さくしたい。②エンジンの始動停止回数をできるだけ減らしたい。③エンジン音による走行フィーリングを犠牲にしないようエンジンを動作させたい。④ロードノイズに対してエンジン音が目立ちやすい速域ではエンジンを停止したい。このような要求に対して,走行実験を行い,Table 2のようなエンジン始動停止条件を求めた。この時,目標発電量(トルク・回転数)の導出には,アクセルオン時はモデル予測制御法を,アクセルオフ時は車速に比例して発電電力を決定する制御法を用いることとした(Fig. 8)。アクセルオフ時はエンジンを停止しても良いが,②③の要求からエンジンを止めない条件を設定した(3)。この始動停止機能により,エンジン音による走行フィーリングを確保しながら,不必要にエンジンを停止させる頻度を小さくすることができる。Table 2 Engine Start-Stop ConditionEngine startEngine stopEngineSpeedVehicleSpeedEngine sound> Road noiseOConditionVehicle speed≧45[km/h]Brake on period≧a few secondsor Vehicle speed≦35[km/h]]AccelerationONEngine doesn’t stopAccelerationOFFFig. 8 Trajectory of Engine Output5.3高電圧バッテリの保護機能高電圧バッテリはSOCやバッテリ温度に応じて充放電可能電力[kW]が変動する。例えば,高SOC時は充電可能電力(以下Pin)が小さくなり,温度が高い場合や低い場合ではPinと放電可能電力(以下Pout)の両方が低下する。特に,PinとPoutの両方が小さい場合では,加速中においてPoutでは不足する電力をエンジン発電電力で補いながらモータを駆動させる必要があるだけでなく,アクセルオフ時にはモータを空転させながらエンジンを停止させる必要もある。このような機能を追加しないまま通常走行をしてしまうと,PinとPoutの範囲を超えた電力がバッテリに充放電されてしまう現象が発生する。このような現象が繰り返されるとバッテリは大きく劣化してしまう。特にPinを超えた電力が充電される現象については制御が複雑となるため,その原因と対策について以下に述べる。(1)原因①オーバシュート:エンジン出力上昇時に発電電力が目標発電電力を一時的に超えてしまう(Fig. 9の左図)。②オフセット:低外気温中の定常発電状態において,発電電力が定常的に目標発電電力よりも大きくなる(Fig. 9の左図)。③発電電力残り:モータ出力減少時にエンジン出力降下が遅れてしまう。(2)対策と効果①オーバシュート:発電上限電力(Pin+モータ出力)と発電電力との偏差をPD制御法を用いてフィードバックすることにより,応答遅れを持つ発電電力挙動が発電上限電力を超えないように制御できる。(Fig. 9の右図)②オフセット:バッテリPinが小さい状態において,発電上限電力と目標発電電力との間に余裕を設けることにより,オフセットが発生したとしても,発電電力が発電上限電力を超えないように制御できる。(Fig.9の右図)③発電残り:モータ出力が減少し始めたら速やかに発電電力を0(エンジン停止またはアイドリング)にすることにより,モータ出力が0になる前に発電電力を0にできるため,発電電力が発電上限電力を超えないように制御できる。OBattery Pin+Motor powerOvershootTargetpowerGeneratedpowerOffsetTimeOBattery Pin+Motor powerFig. 9 Battery Protection Feature6.走行テストの結果GeneratedpowerTargetPowerTime本章では,4章で提案した発電制御法に5章で示した機能を追加した制御法を組み込み,走行実験を行ったので,その結果を述べる。6.1常温でのモード走行5章にて述べた機能を含んだ発電制御法を組み込んだ本車両においてJC08モード走行をCSモードで行ったところFig. 10のような結果となった。SOC挙動から,電力収支が目標SOC付近でバランスしていることが分かる。この時,リッチパージを所定回数実行しながらバランスできていることが確認できる。またエンジン回転数の挙動から,フィーリング関数値付近でエンジンが回転していることが分かる。エンジン始動停止の挙動と併せてみると,ロードノイズよりもエンジン音が大きくなりやすい車速域(40km/h以下)においてエンジンが停止してい―147―